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原価率の低いメニューとは?メニュー例と検討する際の注意点も紹介

原価率の低いメニューとは?メニュー例と検討する際の注意点も紹介

飲食店の利益を上げる対策には、イベントの企画やSNSの活用などさまざまなものがあります。なかでもメニューの企画や工夫は、継続的な効果が見込める有効な手段です。原価率の低いメニューの提供もそのひとつ。ただし、単に原価率の低いメニューを増やすだけではお客さまの不満につながる恐れがあるため、バランスが必要です。

本記事では、飲食店の原価率について基本的な知識を確認した後、原価率の低いメニューの一例や注意点などを紹介します。

飲食店の原価率とは?

原価率とは、売上高のうち原価が占める割合のことです。飲食店の原価は、基本的に食材費になります。

原価率は以下の数式で算出します。

  • 原価(円)÷ 売上高(円)×100 = 原価率(%)

原価率が低いほど店舗の利益が大きくなるため、原価率の低いメニューを増やすことが、飲食店において利益向上のひとつの対策になります。

しかし、原価率を低くするためにお客さまへ提供する料理やサービスの質を下げてしまえば、お客さまが離れてしまうかもしれません。また同じメニューの提供価格を単純に値上げすれば、当然原価率を抑えることができますが、お客さまがその価格に納得しなければ、注文が入らなくなる可能性があります。

原価率を抑えるといっても、安易に質を落としたり価格を上げたりすることは利益向上につながるどころか、お客さまの足が遠のき、業績の悪化につながるリスクがあります。

飲食業界の原価率の理想的な数値は業態によって異なりますが、大まかな目安は30%前後といわれています。それをひとつの目安に、お客さまの満足度を下げることのないよう配慮しながら原価率を調整していくことが大切でしょう。

飲食店の原価率について詳しくは、「飲食店の原価率とは?出し方や抑える方法を解説」をご覧ください。

また飲食店の安定的な経営のためには、原価率に加えて利益率やFL比率なども把握しておきたいところです。「飲食店の利益率の目安は?上がらない要因や向上の方法を解説」と「飲食店のFLコストとは?FL比率の適正値やコントロール方法などを解説」をご参照ください。

原価率の低いメニューを考える際のポイント

では、原価率の低いメニューとはどのようなメニューでしょうか。さまざまなポイントが考えられますが、ここでは次の4つを紹介します。

比較的原価の安い食材を選ぶ

自店舗のコンセプトに合った食材で、それで作るメニューにお客さまが満足してくださるものであれば、できるだけ原価の安い食材を選びましょう。

たとえば野菜なら、じゃがいもやキャベツ、玉ねぎ、にんじんなど、消費量・流通量共に多く、安定供給されているものが、原価も安い傾向にあります。また、水を加えてボリュームを出すことができる粉類も、結果的に原価が安い食材と言えます。比較的リーズナブルな価格で手に入れやすい、旬の食材も積極的に取り入れると良いでしょう。

ただし、原価が安ければ安いほど良いというわけではありません。原価が安い食材ばかりを使った結果、味の良くないメニューになりお客さまに選んでいただけなければ、売上につながりません。

おいしさを保ちながらコスト削減や時短をかなえるために、使用している材料を「日清素材のオイル」に置き換えることもおすすめです。

フードロスの少ない食材・歩留まりの良い食材を使う

同じ種類の食材なら、できる限りフードロスの少ないものを選ぶようにしましょう。

フードロスとは本来食べられるにもかかわらず、食べ残したり賞味期限や消費期限が切れたりして、廃棄されることです。元は同じ原価でも、フードロスが少なければ、それだけ原価率を低く抑えることができます。

たとえば、冷凍食材や乾燥食材など賞味期限の長いものを積極的に選べば、食材が傷んだり賞味期限が切れたりして廃棄するといった事態を回避しやすくなります。

また、料理の仕方によって骨ごと食べられる魚、取り除く必要がある皮や芯・種が少ない野菜や果物など、同じ種類の食材の中では、できる限り歩留まりの良い(可食部の多い)ものを選ぶことも有効です。

フードロスの削減は、飲食店にとって実質的な原価率を抑えコスト削減につながるだけでなく、SDGsに積極的な企業姿勢を社会にアピールするためにも、重要な取り組みです。

フードロスについて詳しくは、「食材廃棄を減らすためには?利益向上とSDGsに向けて食品ロス対策に取り組もう」をご覧ください。

使う食材の種類を少なくする

お客さまに満足していただけるメニューにできるのであれば、できる限り使う食材の種類を少なくすることも有効です。

多くの種類の食材を少しずつ仕入れるよりも限られた種類の食材を多く仕入れる方が仕入れ単価を下げられる可能性が高く、原価を抑えやすくなるためです。

また、使う食材の種類が多いほど仕込みや調理が煩雑になりがちで、人手も必要になり、時間もかかります。

使う食材の種類を少なくすることは、原価を抑えると同時に人件費の抑制にもつながります。

効率的に調理できる

効率的に調理できるかどうかも、原価率の低いメニューを考える際の重要なポイントです。効率的に調理できれば手間や時間が少なく済み、それだけ人件費を抑えることにもなります。

たとえば前述の冷凍食材や乾燥食材などは下処理までされたものも多く、効率的な調理が可能です。使う食材の種類が少ないメニューも、食材の種類が多いメニューと比較して下処理から仕上げまで手間がかからず、効率的に調理がしやすいです。

また、適切な温度設定をした「オーブンで焼く」「油で揚げる」などは、比較的手間や失敗が少ない調理方法です。仕上げの手前まで下準備ができているものを、最終的に「オーブンで焼く」「油で揚げる」という作業は、経験の浅い人でも担当することができます。概して効率的な調理方法と言えるでしょう。

原価率の低いメニューの一例

飲食店における原価率について基本的なところを確認しました。ここからは原価率の低いメニュー例を紹介します。

ペペロンチーノ

ペペロンチーノは使用する食材がとても少なく、パスタメニューのなかでも原価率が低いメニューに該当します。パスタと唐辛子・ニンニク、オリーブオイルなどがあればよく、パスタを茹でて炒めた具材と和えるだけで作れるため、調理にかかる手間もコストも抑えられます。

日清素材のオイルローストガーリック風味」があれば、じっくり煮出したガーリックの風味を手軽に再現することもできます。

ペペロンチーノはさまざまな具材と組み合わせてバリエーションを増やすことも容易です。組み合わせる具材の種類や量によっては原価率が高くなることもありますが、その分妥当な範囲で価格に上乗せすることで、利益を確保することが可能です。

ピザ

ウクライナ侵攻の関係で今は価格が高騰していますが、本来粉類を使ったメニューは水を加えることでボリュームを出せるため、比較的原価率が低めと言われます。ピザもそのひとつです。

もっともシンプルなものであれば小麦粉とチーズ、ソースだけで作ることができますし、トッピングの種類や量を上手に調整することで、原価率をコントロールしやすいメニューとも言えます。

ピザ専門店やイタリア料理店だけでなく、居酒屋やカフェなど幅広い業態で提供しやすいメニューであることも魅力でしょう。

フライドポテト

主に使われている食材がじゃがいもだけであり、調理の手間もかからないことから原価率の低いメニューの定番とされています。

居酒屋やファストフード店などでおつまみやサイドメニューの一品として提供するほか、レストランでステーキやハンバーグなどの付け合わせとして提供することで、トータルでの原価率をコントロールするといったことも可能です。

日清素材のオイル濃厚バター風味」を使ってハニーバター風味にするなど、雰囲気を変えることもおすすめです。

なお、フライドポテトのような揚げ物は、食用油に着目することも大切です。食用油の節約術については、「価格高騰に負けない!業務用食用油の節約術を解説」をご参考にしてください。

餃子

小麦粉、キャベツ、豚肉といったシンプルな食材で作る餃子も、比較的原価率を抑えられるメニューです。餃子専門店や中華料理店のほか、ラーメン店のサイドメニュー、居酒屋のおつまみなど、さまざまな業態で提供しやすいメニューでもあります。具材やたれ、トッピングの組み合わせにより、バリエーションを増やすこともできます。

ショートケーキ

スポンジケーキをベースにしたショートケーキは使う材料も少なく、小麦粉を泡立てた卵白やベーキングパウダーによって膨らませてボリュームを出すため、ケーキのなかでも比較的原価率の低いメニューと言えます。

また、トッピングは必ずしもいちごを使う必要はなく、比較的安い季節の果物を使うなどの工夫で、原価率をコントロールすることもできます。

原価率の低いメニューを検討する際の注意点

原価率の低いメニューを検討する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 原価率を抑えることばかり考えてメニューを決めない
  • 人気メニューと組み合わせて原価率を理想値に近づける

まず、原価率を抑えることばかりを考えてメニューを決めると、お客さまにとって魅力がないものになってしまうおそれがあります。

たとえば「原価率が高くても人気のあるメニューをうまく組み入れることで、全体の原価率を理想的な数値に近づけていく」、「原価率の低いドリンクとセットにして価格を高めに設定する」などの工夫が必要です。

大切なのは、原価率を低くすることが目的ではなく利益向上が本来の目的であることを忘れないことです。

原価率を抑えたメニューだけで利益を上げるのには限界があります。

注文の受け取りからメニュー提供までの時間を短縮する、調理の手間を削減して効率化を図るなど、他にも利益を上げるための方法はさまざまに考えられます。

ひとつの方法にだけ頼るのではなく、複数の方法を組み合わせることが重要です。お客さまの満足度を維持したまま、多方面からの取り組みにより無理なく原価率を適正化していくのが理想的です。

お客さまの満足度を下げずに利益を上げる方法は、「飲食店の回転率向上で売上アップ!改善のノウハウや具体的な手法を紹介」や「調理効率化のポイントは?飲食店経営の安定化を図るために考えるべきこと」もご参照ください。

原価率の低いメニューだけでなくさまざまな視点で利益向上を図ろう!

原価率の低いメニューを多く提供することは、飲食店の利益向上のためにはすぐに成果を感じやすい有効な手段です。しかし一方で、それだけでは魅力あるメニューが提供できず、お客さまが離れ、結果的に利益が落ちるリスクがあります。

ひとつのメニューだけで考えるのではなく全体での原価率の適正化を図ることで、お客さまの満足度に悪影響を与えず利益向上が見込めます。また原価率の低いメニューだけでなく、回転率向上や調理の効率化など、他の方法を組み合わせることもポイントです。

業態に合わせてさまざまな方法を駆使し、ぜひ利益向上をめざしてください。

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