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飲食店の利益率の目安は?上がらない要因や向上の方法を解説

飲食店の利益率の目安は?上がらない要因や向上の方法を解説

4年間で約2割が廃業するともいわれる飲食業界。利益率を把握することはお店の存続・成長に不可欠です。

しかし、「利益率について、実は正確には理解していない」「利益率がどのくらいで経営が安定しているといえるのか知りたい」人も多いのではないでしょうか。

本記事では、利益率とは何か、飲食店の利益率を算出する方法、利益率が上がらない理由、利益率を向上させる方法など、飲食店経営に役立つ「利益率」について幅広く紹介します。

飲食店の利益率とは

一般的に、企業の利益には主に「粗利益」と「営業利益」のふたつがあります。

飲食店における粗利益は、売上高から、提供する料理や飲み物の材料費(売上原価)を差し引いた金額です。売上高に対して粗利益が占める割合を粗利率といいます。

営業利益は、粗利益から販管費を差し引いた金額です。飲食店における販管費とは、提供する料理や飲み物の材料費以外にかかった経費を指します。例えば、人件費や家賃、水道光熱費、通信費、消耗品費などが該当します。

  • 粗利益=売上高-売上原価
  • 営業利益=粗利益-販管費

そして、売上高に対して営業利益が占める割合を営業利益率といいます。

一般的な利益率の計算式は以下のとおりです。

  • 営業利益率(%) = 営業利益 ÷ 売上高 × 100

一般的に飲食業界では粗利率が60~70%、営業利益率が5~8%が平均とされ、これよりも高い数値を出せていれば、とりあえずは経営が順調であると判断できるでしょう。

損益分岐点とFL比率も重要

目標とすべき売上高や抑えるべきコストを知るためには、損益分岐点やFL比率の把握も重要です。

まず、利益を出すためには少なくともどのくらいの売上高を確保する必要があるのか?を知るために活用するのが損益分岐点です。

損益分岐点とは「売上と費用がちょうど等しくなる点」です。売上高が損益分岐点を上回れば黒字、下回れば赤字です。

損益分岐点は、以下の計算式で求められます。

  • 損益分岐点 = 固定費 ÷{ 1 − (変動費 ÷ 売上高)}

そして、変動費のうちもっとも大きな経費である食材費(Food)と人件費(Labor)の合計額をFLコストといいます。FLコストを適切に調整することが、飲食店の安定経営に重要な課題とされます。

売上高に対してFLコストが占める割合が、FL比率です。

  • FL比率=FLコスト(食材費+人件費)÷売上高×100

一般的に、FL比率の適正値は60%以下とされ、65%を超えてくると危険な状態といわれます。

FLコスト・FL比率について詳しくは、「飲食店のFLコストとは?FL比率の適正値やコントロール方法などを解説」をご覧ください。

飲食店の利益率を管理する必要性

経営にかかわるお金の指標を解説してきました。飲食店運営にあたっては、適正な利益率を確保しつつ、利益を出すために必要とされる売上高をクリアしていくことが不可欠です。運営に当たってはFLコストや賃料、水道光熱費など多くのコストがかかります。そんななかでも利益率を向上させようと、競合との差別化や経費削減などのさまざまな取り組みを実施している店舗も多いでしょう。

しかしながら、なかなか成果につながらず利益率が上がらないケースがあるのはなぜなのでしょうか?主な要因を紹介します。

飲食店の利益率が上がらない主な要因は

飲食店の利益率が上がらない主な要因を4つ紹介します。

原価率が高い

原価率とは、売上高に対する原価の割合です。飲食店の原価は、提供する料理や飲み物の材料費を指します。飲食店の原価率は25~30%程度に収めるのが良いとされています。

食材ロスが多かったり、提供するメニューの価格設定が適切でなかったりして、原価率が必要以上に高くなれば、当然利益に影響します。一方で、原価率を抑えるために、料理の質やボリュームを極端に落としたり、安易に値上げをしたりすると、顧客満足度が下がり、売上に大きく影響するおそれがあるでしょう。

顧客満足度を維持しながら、原価率を適正化する努力が必要になります。

食品ロスについて詳しくは、「食材廃棄を減らすためには?利益向上とSDGsに向けて食品ロス対策に取り組もう」を、飲食店の原価率について詳しくは、「飲食店の原価率とは?計算方法や抑える方法を解説」をご参照ください。

回転率が悪い

回転率とは、1日の来客人数を客席数で割って算出する数値です。店舗にある客席がどのくらい使われたかを示します。例えば、客席20席のレストランに1日40人の来店があった場合は、40人÷20席で回転率2、1日60人が来店した場合は、60人÷20席で回転率3となります。客単価が同程度と仮定すると、後者のほうが売上および営業利益が大きくなるのが一般的です。

ただし、回転率は業態や規模によっても異なるため、一様に目指すべき数値を挙げるのは困難です。価格帯やコンセプトも考慮しながら、トータルで考えていくことが重要です。例えば、フレンチなど客単価の高いお店は回転率が低く、客単価の安いラーメン店や牛丼チェーンでは回転率は高い傾向にあります。

コンセプトを加味せず、回転率を上げることを優先してサービスがおざなりになると顧客の不満につながります。お客様が求めるサービスの質はしっかりと維持し、料理の提供時間短縮の工夫やシステム活用によるオペレーションの効率化などで、回転率の改善を目指すようにしましょう。

安易な値下げに走っている

集客目的で値下げに踏み切ったものの、一時的な売り上げ増加にとどまり、継続した利益につながらないケースもあります。基本的に、顧客は飲食店の味やサービスを求めて来店します。そのため、味やサービスに満足しなければ、いくら値段が安くてもリピーターになってはくれません。値下げをして一時的に来店者数が増えても、味やサービスが伴わなければ、結果的に継続した利益につながらないでしょう。

また、価格が一定水準以上であれば、料理の質は確かだと安心する消費者心理もあります。

値下げは一時的な対策として活用し、集客の手段を値下げだけに頼り続けないようにしましょう。

人件費をかけすぎている

必要以上の従業員の確保は余計な経費が発生し、利益縮小の原因になります。適切な従業員数を把握し、それに即した人員配置を行うことが大切です。

適切な人員配置を考える際は、FL比率や人時(にんじ)売上高などが良い指標となる場合があります。

FL比率の適正値とされる60%以下のうち、食材費率は24~40%、人件費率は20~36%ほどが目安とされます。

人時売上高とは、「店舗の売上高÷総労働時間」で算出する、従業員1人あたりが1時間にどれだけの売上を上げているかを示す数値です。飲食店の場合、5,000円以上が理想的とされます。

ただし、いずれも数値の改善を意識するあまりサービスの質が低下したり労働環境の悪化につながったりするようでは本末転倒です。適切なサービスの質・労働環境を担保したうえで理想的な数値に近づけていくことが大切です。

飲食店の利益率を向上させる方法

では、利益率を上げるにはどのようにすればよいのでしょうか? 次のような方法が考えられます。

原価率を適正化する

売上原価、つまり提供する料理や飲み物にかかる材料費を抑えられるかどうかは、利益率に大きく影響します。原価を抑えるためには産地、ランク、部位などを見直す、これまでより安い食材に変更するなどの方法が考えられます。

ただし、単純に食材の産地・ランクを落としたり、食材を変更したりするだけでは、顧客満足度を下げる可能性があります。ランクを落とす代わりに調理でおいしさを高める工夫を行う、小鉢を一品増やす、ドリンクをセットにするなど、別に付加価値をつける工夫が必要です。

また、食品ロスを減らすことも原価率の適正化に有効です。在庫管理や仕入管理を適切に行う、ロスの出にくい冷凍食材を上手に使う、メニュー数を抑える、顧客の希望に合わせてご飯の量を調整するなどで、食品ロスの削減に努めましょう。

なお、油の使用量が多い場合は、「価格高騰に負けない!業務用食用油の節約術を解説」で紹介しているように、油をかしこく節約することも有効です。

店の回転率を上げる

レイアウトの工夫や料理の提供時間の短縮、注文・会計の効率化といったオペレーションの改善で、顧客に不快な思いをさせることなく回転率を上げることは可能です。

レイアウトの工夫

店舗の顧客層に合わせて店内のレイアウトを見直します。例えば、一人客が多い店舗ではテーブル席を減らしてカウンター席を増やします。団体客が多い店舗では、大人数での来店客を一度にスムーズに座席へ案内できるよう、通路幅を広めに確保するのも有効でしょう。

オペレーションの改善

厨房内ではあらかじめ役割分担しておく、作業動線を考慮して食材や食器を配置するなどで、料理の提供時間の短縮を図ります。また、ホールにおいては注文や会計業務の流れをマニュアル化する、バックヤードにおいては在庫管理にシステムを導入するなどで、効率化を図るのも効果的です。

厨房内のオペレーションの改善には、機能性油の利用も有効です。ご飯がさばきやすいことで盛り付け作業をスムーズにできる炊飯油や、香味素材の風味を手軽に再現しながら、焦げ付きにくく後片付けがしやすくなる風味油などの使用によって作業時間を短縮すれば、回転率の向上につなげることができます。

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調理の効率化については、「調理効率化のポイントは?お客様満足度と回転率の向上を図るために考えるべきこと」もご覧ください。

人件費を抑える

過去のデータを活用し、混んでいる曜日や時間帯、来店数が少ない曜日や時間帯、周囲のイベントの有無などを把握し、状況に合わせて勤務時間を見直し、シフトの調整を行います。その際、従業員のスキルや能力、経験値などを考慮してシフトを組むこともポイントです。

高利益メニューを開発する

原価率が低ければ低いほど、一品あたりの利益は大きくなります。原価率が低いメニューを増やすことで、利益率の向上を目指します。

ただし、原価を下げたことが味に影響して、顧客離れが起きてしまうと、売上の低下につながってしまいます。高利益メニューを開発する際は、顧客満足度も維持・向上させなければなりません。

お得なセット料金を設定して、原価率の高いメニューと低いメニューを組み合わせて注文してもらう流れをつくる、原価率の低いソフトドリンクをセットにしてやや高めの価格を設定するなどの工夫が必要です。

原価率が低いメニューについては「原価率の低いメニューとは?メニュー例と検討する際の注意点も紹介」もご参照ください。

油の見直しなど上手に工夫して飲食店の利益率を上げよう!

飲食店の利益率は、店舗の経営状態や経営課題を把握するために必ず知っておきたい数値です。

利益率の向上には、回転率を上げる、オペレーションの効率化を図るなどのさまざまな方法があります。なかでも大きなポイントは、飲食店で発生する経費のうち大きな割合を占める「材料費」を抑えることです。

材料費を抑えるためには、油の見直しも有効です。現在は劣化しにくく、長い期間おいしい揚げ物をつくることができる油もあります。油の交換頻度を少なくすることが可能で、特に揚げ物メニューの多い飲食店では大きな効果が見込めます。下記より詳細を確認できますので、ぜひご検討ください。

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