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油の劣化とはどういう状態?見分け方や正しい管理方法についてわかりやすく解説

油の劣化とはどういう状態?見分け方や正しい管理方法についてわかりやすく解説

飲食店や、惣菜や弁当を提供している店舗では、油にかかるコストは小さくありません。油にかかるコスト対策として、「フライ油をできるだけ長くもたせる」という方法があります。しかし、油が劣化していた場合、提供する食品の風味に影響するだけでなく、食べた後に胸やけや不快感が生じる可能性があり、顧客満足度に影響を与えかねません。そこで今回は、油の劣化について説明し、飲食店での管理方法について紹介します。

油の劣化とは

油は、光・高温・空気にさらされたり、調理でたくさんの揚げ物をしたりすると、酸化や加水分解が進みます。これを油が劣化した状態といいます。

  • 酸化とは
    油が空気中の酸素分子と反応して起こる現象で、油の劣化により起こる現象です。「過酸化物価」という指標で表されることもあります。

    「光、高温、空気」などにより促進され、粘度の上昇や泡立ち、においの発生につながります。
  • 加水分解とは
    フライ油の中に食品を入れると、食品から出てきた水分が原因で油の分子の一部である脂肪酸が切れてしまうこと。

    加水分解が起きた結果、数値としては「酸価」が上昇します。酸価が上がることで煙が出やすくなります。

以上のように、酸化と加水分解が同時期に並行して進行することで、油が劣化していきます。

劣化した油の見分け方

油の劣化は商品の味を低下させるだけではなく、胸やけや不快感につながるおそれもあり、使い続けることは絶対に避けなければなりません。

劣化した油を簡単に見分ける方法を紹介します。

見た目や風味の変化

油は常温でも劣化が進みますが、特に高温での加熱調理を行うことにより複雑な化学反応が起き、劣化しやすくなります。

油が劣化した状態は、以下のような変化によって見分けられます。

  • においの発生:新鮮な油に比べ「油臭さ」がでてきます。
  • 異味の発現 :油っぽく感じます。
  • 色の変化  :色が濃くなり透明度が落ちます。
  • カニ泡の発生:細かく消えにくい泡(カニ泡)が発生するようになります。
通常のフライの様子
カニ泡が発生している様子
  • 粘度の上昇:粘り気やべたつき、こびりつきが起こります。
  • 煙の発生 :油の温度が170℃くらいで煙が出るようになります。新鮮な油は230~240℃までは煙が出ません。

数値の変化

油の劣化における数値の指標としては、主に酸価、過酸化物価があります。

酸価

油に含まれる遊離脂肪酸の量を示す値で、加熱による劣化の程度がわかります。数値が高いほど劣化が進んでいます。

過酸化物価

油に含まれる過酸化物の量を示す値で、保存状態や自動酸化による劣化の程度がわかります。

過酸化物が分解するとカルボニル化合物となり、カルボニル価という数値で表します。数値が高いほど劣化(特ににおい)が進んでいます。

劣化しにくい油とは

最近では、酸価の上昇を約30%抑制し、着色・においも抑制する食用油が販売されています。フライ時の酸価の上昇を抑える製法により、従来よりもフライ油の劣化を抑えます。

加熱した際の劣化を抑制する油について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

日清スーパー長持ち油」へ

また、劣化しにくい油を使うのと同時に、フライヤーの設定温度を適正にする、揚げカスをこまめに取り除く、フライヤーを清潔に保つなど、劣化抑制につながる工夫をすることも重要です。

油の劣化を防ぐ工夫について詳しくは、以下の記事もご参照ください。

「価格高騰に負けない!業務用食用油の節約術を解説」

油の劣化の管理方法

先述のように、油の劣化の度合いは、発煙する温度、泡の状態、油の色や粘度、におい、風味などで判断することができます。異常を見分けるには効果的な方法である一方で、判断が人によって異なる可能性もあるため、この方法だけでは適切な管理は難しいかもしれません。

油の劣化を適切に管理するためには、明確な判断基準が必要です。日本惣菜協会が作成した衛生管理に関する手引書でも、客観的な数値で使用限界が示されています。

酸価で管理する

2021年6月から、食品を扱う全事業者に対し、HACCPに基づく衛生管理が義務化されました。

食への衛生意識が高まるされるなかで、今後は消費者が飲食店に求める衛生基準もますます高くなっていくと考えられます。

一般社団法人日本フードサービス協会が作成した「多店舗展開する外食事業者のための衛生管理計画作成の手引き」によると、油の管理ポイントは下記通りです。

<管理ポイント>

・酸価指標(2.5以下を目安)

・官能評価で異常がないこと

油の酸価については、判定紙などで比較的容易に判定することができます。判定紙のほか、スマートフォン用アプリで撮影することで、数値的に確認できるサービスもあります。

数値を定期的に記録し、使用している油の状態を常に把握しておくことは、事業者としての安全性に対する責任といえるでしょう。

油の劣化を見える化して管理するメリット

油の劣化を可視化し、明確な基準のもとに管理することには、以下のようなメリットがあります。

①店舗・作業者ごとのばらつき防止

先述のように、油の変化は見た目やにおいなどでも気づくことができます。しかし、そうした感覚的なものに頼ると、店舗や作業する人によって品質管理に大きな差が生じるリスクがあります。

数値化された基準があれば、判断の差異は発生しません。油の劣化について統一的な管理方法を確立することで、店舗ごとの品質のばらつきをなくせます。

②作業者の個人的な判断による交換の遅れ、ムダな交換によるロスを回避

信頼性の高い判断基準に従い、交換目安が適正化されれば、適切なタイミングで油を交換することができます。

それまで早すぎるタイミングで交換していた場合には、油の使用量削減につなげられます。

③店舗の信頼性とイメージアップに貢献する

劣化した油で調理すると、メニューの風味が損なわれます。行くたびにおいしさに波がある状態はお店のイメージを下げる可能性があります。油を適正に管理することで、安心安全な食品提供を行うとともに、いつ行っても安定しておいしいメニューを提供することで、お店の信頼性を維持できます。

飲食店にとってなによりも大切なお店の信頼性と、おいしい料理を提供するお店というイメージの強化につながります。

安全性と利益向上を両立させる油の劣化管理

おいしい料理を提供するために欠かせない食用油ですが、コストを考えると少しでも長く使いたいと思うのは当然です。一方で、フライ油を無理に長く使おうとすると、油の劣化による料理や健康への影響から、営業リスクを招く結果となりかねません。ロスなく、かつ、安全性を確保するためには、油の劣化管理が重要です。また、正しい管理法を実践すると同時に、できるだけ劣化しにくい油を使うことも有効です。

加熱した際の劣化を抑制する油について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

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