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飲食店のFLコストとは?FL比率の適正値やコントロール方法などを解説

飲食店のFLコストとは?FL比率の適正値やコントロール方法などを解説

飲食店の経営において、意識しておかなければならないのが「FLコスト」です。FLコストとは、飲食店でもっとも大きなコストといわれる食材費と人件費の合計金額を指します。飲食店の経営状態は、売上高に占めるFLコストの割合、「FL比率」が大きくかかわってきます。

本記事では、飲食店経営の重要な指標となるFLコストの概要や、FL比率の適正値、FLコストのコントロール方法などを考えていきます。

FLコストとは?

FLコストのFは「Food」、Lは「Labor」の頭文字で、それぞれ「食材費」と「人件費」のことを指します。食材費と人件費の合計がFLコストです。

食材費と人件費は飲食店経営において発生するもっとも大きなコストであり、飲食店で利益を生み出すには、FLコストのコントロールが重要になってきます。

FL比率とは

飲食店の売上高に対してFLコストが占める割合を「FL比率」といいます。FL比率は、以下の計算式で算出します。

  • FL比率(%)=(食材費+人件費)÷売上高×100

FL比率は売上に対する食材費と人件費といった経費が占める割合を表す指標であり、ほかの条件が同じであれば、この数値が低いほど飲食店の利益が多いことになります。

一般的にFL比率の適正値は60%以下といわれ、55%以下であれば良好、65%を超えると危険な状態といわれます。食材費と人件費のそれぞれの比率は業態によって異なりますが、食材費が24~40%、人件費が20~36%ほどが目安です。

利益を大きくするためにはFL比率をできる限り抑えたいところです。しかし、数値ばかりを意識しすぎてサービスの質が低下したり、労働環境が悪化して従業員の離職を招いたりするようであれば、意味がありません。結果的に顧客離れが起きて利益が減少し、最悪の場合、廃業せざるをえなくなるおそれがあります。

一定水準以上のサービスの質や労働環境を維持したうえで、FLコストを適切にコントロールすることが重要です。

FLコストをコントロールする方法―食材費

では、適切にFLコストをコントロールするには、どのような方法があるでしょうか。

まずは食材費から見ていきましょう。

食品ロスの削減

食品ロスの削減は、食材費を抑えるうえでもっとも優先すべき取り組みです。

食材には消費期限、賞味期限があるため、それを見越して適切な量を適切なタイミングで仕入れる体制を整えておくことが大切です。過去のデータを活用するなどして、曜日や天気、周辺のイベントなどの状況に応じて仕入れの量を調整することもポイントです。

また消費期限内、賞味期限内であっても、管理状況によって食材の鮮度や状態に大きく違いが出てきます。食材に合った適切な管理を徹底しましょう。

食品ロスは社会的にも大きな問題となっており、食品ロス削減の取り組みの重要性を理解している顧客は少なくないはずです。食べ切れる量の注文を呼びかけたり、ご飯の量を調整できる旨を伝えたりするなど、顧客の協力を仰ぐことも有効策です。

常に食べ残しの多いメニューについては、顧客の不満につながらないよう考慮しながら、ボリュームを見直すのもよいかもしれません。

食品ロス対策についての詳細は、「食材廃棄を減らすためには?利益向上とSDGsに向けて食品ロス対策に取り組もう」をご覧ください。

メニューの見直し

ほかのメニューに比べ原価率の高いメニューを見直します。それが人気メニューであれば、味に影響しない範囲で食材の見直しなどを実施して、原価率を下げる工夫をするとよいでしょう。あまり注文されないようなメニューであれば、廃止を検討します。

また、メニューの種類が多ければ、それだけ仕入れる食材の種類も多くなるため、食材費が高くなりがちです。メニュー数を減らす、同じ食材を使うメニューを増やすなどの工夫も有効です。

ただし、食材ロス削減の努力と同様に、メニュー内容の変更が顧客満足度の低下につながらないように、極力気をつけなければなりません。

これまでと同じボリュームを希望する顧客には適宜ボリュームアップに対応する、同じ食材でも味付けや盛り付けを変えて、まったく異なる印象のメニューを開発するなど、顧客への配慮も必要です。

FLコストをコントロールする方法―人件費

人件費をコントロールする方法として、主に以下のような取り組みが考えられます。

シフトの適切な管理

人件費のコントロール方法としてもっともシンプルかつ効果が出やすいのは、適切なシフト管理です。

過去のデータを活用し、曜日、時間帯、天気などの来店者数の増減を把握し、それに沿った過不足のないシフトを組みます。

ただし、従業員にはスキル・能力の差があり、同じ人数を確保したからといって、同じスピード、同じ品質のサービスができるわけではありません。従業員のスキル・能力のバランスを考え、メンバー、人数の調整を行うことも大切です。

業務効率化

業務効率化も、人件費を抑える効果が期待できます。

例えば、セルフドリンクバーの設置や飲料水のセルフサービス化、半調理品や調味料を上手に活用することなどが考えられます。 

また、セルフオーダーシステムやセルフレジ、各種調理システムなどのシステムの導入は、大幅な効率化が期待できます。初期コストはかかりますが、ぜひ検討したい効率化対策です。そこまで大がかりでなくても、これまで完全な手作業だった工程に、例えばスライサーやフードプロセッサーなどのツールを取り入れるだけでも業務効率の改善が見込めます。

作業マニュアルの作成も有効です。マニュアルに沿って作業を行うことで、誰でも一定水準以上の業務遂行が可能になります。ベテラン従業員が手を止めて新人や慣れない人へ教えるといった場面も減り、本来の業務に集中できることも業務効率化といえます。

理想的なFLR比率も把握しておこう

飲食店経営では、FLコストに「R(Rent:家賃)」を加えた「FLRコスト」も確認しておきたい指標です。売上に対してFLRコストが占める割合を指すFLR比率は、以下の計算式で算出します。

  • FLR比率(%)=(食材費+人件費+家賃)÷売上×100

飲食店経営のために建物を借りている場合、家賃も大きな経費となります。

一般的に理想的なFLR比率は70%以下とされています。そこから適性とされるFL比率の上限60%を引くと、家賃は10%以下に抑えるべきだということがわかります。

FLコスト・FL比率を念頭に飲食店経営を安定させよう

飲食店経営においてもっとも大きな経費が、FLコストです。経営を安定させるためには、FL比率を常に把握しておきたいものです。

今回紹介した方法を参考に、顧客満足度を損なうことなく、食材費と人件費を上手にコントロールし、FL比率を適正に管理していきましょう。また、FLコストに賃料を加えたFLRコストおよびFLR比率についても理解しておきましょう。これらの指標を活用しながら、安定した飲食店事業を展開してください。

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