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飲食業界の今後は?これからの飲食店の生き残り術

飲食業界の今後は?これからの飲食店の生き残り術

2020年以降のコロナ禍を経て、ライフスタイルにも大きな変化がありました。そのなかで、外食に関する行動はどう変わったのでしょうか。行動制限がなくなり、少しずつ日常が戻りつつある今、飲食店を経営する側として意識するべきこととは何でしょう。どのような飲食店経営が求められているかを知ることは、今後、生き残りへの大きなカギとなります。今回は、飲食業界に関わる食生活の変化やトレンドを解説します。

アフターコロナの外食産業

2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症の位置づけが感染症法2類相当から5類へと移行しました。行動制限がなくなり、店内飲食にも回復のきざしが顕著に見られるようになりました。

現在、外食産業はどのような状況にあるのでしょうか?

外食需要の回復

コロナ禍が沈静化しつつある社会のなかで、外食産業は回復傾向にあります。

7月度の政府の月例報告でも、外食は緩やかに持ち直していると表現されています。行動制限で抑圧された空気が少しずつゆるみ、外出の機会が増えるとともに、おいしい料理をお店で楽しみたいと考える人も多くなっているようです。

株式会社ぐるなびによる調査によると、2023年度の外食意向については以下のとおり、1/3以上が「2人以上の外食を今後増やしたい」と回答しています。「個食」では味わえない、複数人での外食を求める様子がうかがわれます。

出典:「2023年、外食は本格的に回復へ。「コスパ」や「お得感」がカギ~2022年外食の振り返りと2023年の展望~」|ぐるなびPRO

旅行需要の回復

一般社団法人日本フードサービス協会の調査によると、2023年5月度にはGWの帰省客、国内観光客、インバウンドともに消費が旺盛で、外食全体の売上は前年同月比111.8%、コロナ禍前の2019年同月比でも107.6%となりました。

出典:外食産業市場動向調査 2023年5月度 結果報告|一般社団法人日本フードサービス協会(PDF)

インバウンドについては円安などの影響もあり、一人当たりの消費額がコロナ前と比べて上回っていることも、好材料と言えるでしょう。また、日本は「これから訪れたい国」ランキングの上位常連です。2024年2月には、訪日外客数が2019年同月の水準を取り戻すとも言われており、インバウンド需要について、ますますの回復が見込まれます。

感染対策の縮小

5類移行に伴い、感染対策を緩和する飲食店が多くみられました。入店時の検温や消毒、マスクの着用をお客様個人の判断に委ねるほか、アクリル板などのパーテーションを廃止したり、ハンドドライヤーの使用を再開しました。

また、休止していたビュッフェスタイルでの提供を復活させる動きも見られました。

人手不足

外食産業では以前から人手不足が顕在化していましたが、コロナ禍の影響により、従業員の解雇や退職の増加傾向が見られました。

コロナ禍の影響が落ち着き、需要が回復してきている現在でも人手が十分に戻ってきていない店は多く、飲食店の4割以上が人手不足を実感しているとする調査結果もあります。

コスト上昇

電気やガス・食品・物流など飲食店経営に関わるさまざまなコストが高騰しています。

株式会社シンクロ・フードが飲食店経営者・運営者向けに実施した調査では、「原材料費の高騰は貴店の営業に影響していますか?」という問いに対し、90%以上が「影響している」または「やや影響している」と回答しています。

出典:「原材料の価格高騰」に関するアンケート調査 【飲食店リサーチ】 

このことから、コスト上昇により多くの飲食店が経営のかじ取りに苦心している様子がうかがわれます。

今後を見すえた飲食店の生き残り術

さまざまな課題を考慮し、今後飲食店が生き残るためにすべき対策を考えていきましょう。

人手不足への対応

外食需要や旅行需要の回復という好機を逃さないためにも、早急に必要な人手を確保したいところです。しかし、少子高齢化の影響による慢性的な労働力不足の中、人材確保は容易ではありません。新たな人材確保に向けた取り組みのほか、人手不足を補うために、以下のような施策を組み合わせて行う必要があります。

レイアウト改善

限られた人員で効率的に動くために、スタッフが最小限の動きで作業できるよう、また動線上でお互い邪魔にならないよう、レイアウトを最適化し作業の時間短縮を目指します。

レイアウト改善については以下の記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。

レストランの厨房レイアウトで作業効率アップ!スムーズな動線のポイントを解説

IT・デジタルの活用

IT・デジタルの活用も有効です。例としては、事前予約や受付番号の発行などをオンライン上で管理できる順番待ちシステム、タブレットやスマートフォンからオーダーできるセルフオーダーシステム、電子マネー決済などがあげられます。

調理オペレーションの効率化

調理オペレーションの効率化も人手不足対策になります。必要な食材を取り出す、洗う、切る、加熱する、お皿を取り出して盛り付ける、洗うといった一連の工程をシミュレーションし、作業を効率化できるアイテムを導入することも有効です。また、付け合わせや副菜を作り置きができるものにすると、忙しい時間の作業量を減らすことができます。

調理オペレーションの効率化については、次の記事も参考になります。

オペレーションをどう見直す?テイクアウト・デリバリーに対応するためのポイント

コスト対策

あらゆるコストが上がり続けている中だからこそ、可能な範囲で削減を図りたいものです。飲食店のコスト対策では、まずは、飲食店においてコストの大きな比率を占めるFLコストの適正化が重要なポイントとなります。FLコストの主な削減策は、以下のとおりです。

Food cost(食材費)

食材費を抑えるには、過剰仕入れなどで出る、食品ロスをできる限り抑えることが重要です。在庫管理を徹底し、食品ロス削減を図ります。また、原価率の低いメニューを増やすことも有効です。原価率の低いメニューについて詳しくは、以下をご覧ください。

原価率の低いメニューとは?メニュー例と検討する際の注意点も紹介

Labor cost(人件費)

まずは適切なシフト管理が重要です。曜日や時間帯、天気などから予測される来店者数を考慮し過不足のないシフトを組みます。また、業務効率化を進め、限られた人数でも十分回していける体制を整えるのも効果的です。

FLコスト対策は以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

飲食店のFLコストとは?FL比率の適正値やコントロール方法などを解説

テイクアウト・デリバリーの継続

コロナ禍で広く受け入れられたテイクアウト・デリバリーは、便利さや手軽さなどから、安定した需要があります。飲食店の経営安定化の一策として、アフターコロナでも継続を検討する必要があるでしょう。

一方でテイクアウト・デリバリーには、店内提供とは異なる課題もあります。

店内で提供する料理と比べて食べるまでに時間が空くため、おいしさや見た目を保つのが難しいといったことが代表的な課題です。時間が経っても劣化しにくいメニューに絞る、メニューに合った容器を選定するなど、さまざまな工夫が必要です。

課題を知って適切に対策を講じることが、テイクアウト・デリバリーを継続し、店の収益につなげるポイントになります。テイクアウトやデリバリーの課題と解決策については、以下の記事もご覧ください。

テイクアウトやデリバリー開始に許可は必要?必要なケースや注意点などを紹介

テイクアウトメニューの課題―おいしさを保つためのポイントとは?

テイクアウト・デリバリーの課題解決策のひとつに、パスタや中華そばなど麺のほぐれやツヤ・食感を維持する麺さばき油や、ご飯のおいしさを長持ちさせる炊飯油の利用も有効です。アフターコロナで復活してきたビュッフェスタイルでもおいしさを保つのに役立ちます。この機会に、ぜひご検討ください。

麺さばき油

炊飯油

変化に対応できる柔軟性と効率化への意識を持とう

社会の大きな局面変化を迎え、飲食店経営にも新しい意識が求められています。感染症の脅威が落ち着いても、エネルギーや物価の高騰、人材不足の深刻化など、飲食店が対処すべき課題は多くあります。経営を安定、そして存続させるためには、変化に対応できる柔軟な考え方とコスト削減や作業の効率化などがポイントとなります。自店の運営をより良好な状態にするための取り組みへの積極的な姿勢こそが、これからの飲食店経営には必要ではないでしょうか。

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