ホーム > 外食向けコンテンツ > 料理で使う油の種類-今さら聞けない油の疑問を解説します

料理で使う油の種類-今さら聞けない油の疑問を解説します

料理で使う油の種類-今さら聞けない油の疑問を解説します

調理に使う油には、菜種油やごま油、オリーブオイルなど、多くの種類があります。これらは、それぞれ原料となっているものの名前がついていることは想像できますが、それぞれどのように異なるのでしょうか。

「料理では、どの油がどんなメニューに適しているのか?」「サラダ油はサラダが原料の油なのか?」など、料理で使う油への疑問についての答えを交えつつ、油の分類や種類をご紹介します。

料理で使う油脂の分類

普段「油」と呼ばれているものは、実際には「油脂」全般であることが少なくありません。

油脂とはどのようなもので、どういった分類があるのかから見ていきましょう。

「油」と「脂」はどう違う?

「油脂」は、「油」と「脂」を合わせた全体のことをいいます。

この2つのうち、常温で液体のものが「油」(oil)と呼ばれます。普段使われている油脂のなかでは、サラダ油やごま油などが「油」に分類されます。一方で、常温で固体のものが「脂」(fat)です。牛脂やバターなど、常温において固体の状態になっているものが該当します。

ココナッツオイルは「オイル」という名前がついていますが、常温で個体であるため正確には「脂」に分類されます。

油脂は「植物性」「動物性」の2種類

油脂は、原料となったものによって「植物性」「動物性」の2種類に大きく分けられます。

主に植物の種子や果肉を原料として作られたものが、植物性油脂です。動物性油脂は、動物の脂肪や乳脂肪を原料としたものです。

主要な植物性油脂の種類

調理で使われている油脂にも、いろいろな種類があります。魚油などの油、ラードやバターといった脂など、動物性油脂もありますが、ここでは一般的に多く使われていて種類も多い植物性の油脂を紹介します。

料理で使われる主な植物性油脂としては、次のようなものがあります。

菜種油(キャノーラ油)

菜種油は菜の花の種子を原料とする油で、そのなかでもキャノーラ油は、品種改良されたキャノーラ種が主に使われているものです。オレイン酸を豊富に含んでいます。

キャノーラ油は風味が良いことからドレッシングによく使われるほか、高温に強いため、炒め物や揚げ物まで幅広く利用されています。また、菜種粕は肥料や飼料として使用され、無駄がありません。

カナダとオーストラリアがキャノーラの主要生産国です。

大豆油

大豆油は大豆の種子を原料とする油で、日本では代表的な食用油です。独特のうまみとコクがあり、天ぷら油やブレンドオイルの原料として使われています。大豆には16~22%の油分があり、リノール酸が多く含まれます。

大豆油粕は飼料などに、大豆は豆腐、味噌、納豆などの原料に使用されていて、食用油のほかにも、大豆は日本の食文化において重要な役割を果たしています。

大豆の主要生産国はアメリカやブラジルです。

パーム油

ヤシ科の常緑高木、パームヤシの果肉から得られる、常温では固形の「脂」です。

パームヤシの果肉は油分が44~53%と高く、製造方法によって異なる物性を持ちます。フライなどの加熱調理に使用されるほか、マーガリン、ショートニング、チョコレート用の油脂にも利用されています。

パームヤシの主要な生産国はマレーシアとインドネシアです。

オリーブオイル

オリーブオイルは、地中海沿岸地域で代表的な樹木、オリーブの果実を原料とした油です。特有の香りがあり、スペイン料理やイタリア料理に欠かせない存在です。

オレイン酸を豊富に含むことが注目され健康的なイメージがあるほか、その風味や香りが日本でも好まれるようになり、普及しました。オリーブの果実には15~35%の油分があり、食用のほか、化粧品や薬用にも用いられています。

主要な生産国はイタリアとスペインです。

業務用のオリーブオイルラインアップについてはこちらをご覧ください。

オリーブオイル | 日清オイリオ業務用お役立ちサイト|日清オイリオ 

ごま油

ごま油はごまの種子を原料とした油で、一般的によく知られる焙煎ごま油は、香ばしい風味を引き出すために、種子を焙煎したあとに搾られます。ごまの種子には45~55%の油分があり、ごまリグナンなど抗酸化作用のある成分を含んでいます。

中華料理はもちろん、炒め物や揚げ物、ドレッシングなど、さまざまな用途に利用されます。

使い分ける方法については下記もご参照ください。

焙煎ごま油の風味を飲食店の調理に活用する方法-種類の違いやメリットを解説

主要な生産国は主にナイジェリアやタンザニアです。

べに花油

べに花油は、べに花の種子を原料とする食用油です。サフラワー油という呼び方もよく使われます。

べに花の種子の油分は25~40%で、オレイン酸が多く含まれる品種と、リノール酸が多く含まれる品種とがあります。一般家庭では贈答用にも人気が高い油種です。

素材を活かすあっさりとした風味が魅力で、加熱料理から生食まで幅広く用いられ、風味を活かすサラダドレッシングにもよく用いられています。

主要な生産国はアメリカとメキシコです。

コーン油

コーン油はとうもろこしの胚芽から抽出される油で、香ばしい風味が特徴です。とうもろこしの胚芽の油分は40~55%。ビタミンEが豊富に含まれています。

酸化安定性がよく揚げ物に適した食用油として知られ、品質劣化が少ないため揚げ物の保存性にも優れているといわれています。風味が安定していて、マヨネーズ製造にも利用されています。

主要な生産国はアメリカです。

ひまわり油

ひまわりの種子を原料とする食用油。ひまわりの種子の油分は28~47%です。

クセのない淡白な風味を特長とし、炒め物や揚げ物など食用油としての一般的な使い方のほか、ショートニングやドレッシングなどの原料としても利用されています。

ひまわりの主要生産国はフランス、スペイン、アルゼンチンです。

こめ油

こめ油は、米ぬかを原料とした食用油です。米ぬかには12~21%の油分があります。

米ぬかから抽出されるこめ油は風味豊かなおいしさが特長です。加熱すると特有の甘い香りがあることから揚げ物調理に好まれます。また保存性に優れていることから、米菓などの製菓やマヨネーズにもよく利用されています。

主要な生産国は日本、タイ、ベトナム、およびブラジルです。

綿実油

綿実油は、綿を取ったあとの綿花の種子(Cotton seed)の核から取る油で、種子には15~25%の油分があります。

風味の安定性がよく、まろやかなうまみが特徴です。比較的高価な油で、ホテル・レストランの調理のほか、マヨネーズ、ドレッシングなどの生食用、高級揚げ物用として使用されています。

綿実の主要生産国はアメリカとオーストラリアです。

以上のように、食用の植物性油脂にはさまざまな種類があります。ただし、業務用油を選ぶ際には油種の選定だけでなく、ほかにも押さえておくとお得なポイントがあります。次の記事をご覧ください。

飲食店でもよく使われる“サラダ油”ってなに?

ここまでご紹介した食用油のなかに、日本でおなじみの「サラダ油」が含まれていないことに疑問を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、サラダ油は特定の原料から作られた油種を表す言葉ではありません。

サラダ油とはどういったものなのか、その誕生の歴史からご紹介します。

海外にはない? サラダ油は日本で生まれた

サラダ油は日本独自の名称です。

最初のサラダ油が誕生したのは1924(大正13)年。

当時、日本での食用油は主に揚げ物料理に利用されていましたが、西洋ではドレッシングとして、生野菜に塩や酢とともに食用油を使う文化がありました。

そんななか、日清製油(現・日清オイリオグループ)はドイツから最先端の精製技術を取り入れ、大豆特有の青臭さを軽減することに取り組み、日本で初めて精製度の高い食用油の製造に成功しました。この革新が「日清サラダ油」誕生のきっかけとなったのです。

この冷やしても固まらずに、サラダなどの生食にも適した精製の度合いを高めた良質の食用油は「サラダ油」と名付けられました。

以来「サラダ油」という名称は、食用油を指す一般名称として私たちの生活の中に根付いています。

サラダ油はJASの規格になっている

戦後、日本の各産業で規格化が進み、食用油に関しても日本農林規格(JAS)において規定されることになりました。

このとき、食用油の等級名として「サラダ油」の名称をそのまま用いることになり、現在でも等級を表す用語として用いられています。

精製油より精製度が高く、低温下でも濁ったり固化したりすることのないサラサラ感のある油のうち、JAS規格に定められている油種かつJASの格付けを受けている製品がサラダ油の名称を使用できます。

油の種類と特徴を知って提供する料理に適した油を選ぼう

料理に使う油の基本として、食用油の分類や原料による種類、サラダ油についてご紹介しました。

ご紹介したように、料理で使う油にもさまざまな種類があり、それによって異なる特性を持っています。それぞれの油の特徴を理解したうえで、どういったメニューに合うのか、どういった調理法に合うのかを考えながら、コストバランスも考慮して選ぶことが重要になります。

おすすめ商品