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テイクアウトメニューの課題―おいしさを保つためのポイントとは?

テイクアウトメニューの課題―おいしさを保つためのポイントとは?

飲食店でテイクアウトメニューを提供する店舗が増えています。しかし、テイクアウトの利用率が増えると並行して、テイクアウトについての課題も指摘されるようになりました。飲食店を対象に実施したアンケート調査(日清オイリオグループ調べ)においても、おいしさを保つことが難しい、おいしそうな見た目を保つことが難しいといったテイクアウトならではの課題が明らかになっています。

今回は、調査結果に基づき、テイクアウトの課題と対策をご紹介します。

テイクアウト市場の変化

2020年を境に、外食産業には大きな変化が訪れました。それは、テイクアウトの増加です。

コロナ禍により、店舗での外食を控えテイクアウトが増加する傾向が加速しました。爆発的な感染が一定の落ち着きを見せたあともテイクアウトの実施を続ける店舗は多く、テイクアウトの魅力が広く受け入れられ、定着してきたと考えられます。

日清オイリオグループは、飲食店関係者を対象に「テイクアウト・デリバリーに関する調査」を実施しました。

<出典>テイクアウト・デリバリーに関する調査|日清オイリオグループ(2022年3月調査)


この調査では、テイクアウトの実施状況について次のような結果が出ています。

  • 「2020年以前(コロナ前から)にはじめており、現在も続けている」と回答したのは全体の50.0%
  • 「2020年以降(コロナ以降)にはじめており、現在も続けている」と回答したのは全体の12.8%

以前からテイクアウトを実施し続けている飲食店が50%あったのに加え、12.8%が新たにテイクアウトを開始し、そのまま継続。合計62.8%もの飲食店が、テイクアウトメニューを現在も提供しています。

<出典>テイクアウト・デリバリーに関する調査|日清オイリオグループ(2022年3月調査)


飲食店の業態別による内訳を見てみると、「居酒屋・バー」ではテイクアウトの実施率が50%を下回っています。それ以外の「食堂・レストラン」「専門料理店」「カフェ・喫茶店」では、いずれもテイクアウト実施率が50%を超えています。

また、「食堂・レストラン」「専門料理店」「カフェ・喫茶店」では「2020年以降(コロナ以降)にはじめており、現在も続けている」が14.3%~16.4%と、一定数あります。コロナ禍を機にテイクアウトを開始し、そのまま定着しているケースが少なくないことが見てとれます。

以上のように、多くの店舗が実施しているからこそ、浮上してきた課題もあります。

テイクアウトメニュー提供店舗増加で浮上した課題

テイクアウトの増加によってどのような課題が表面化してきたのでしょうか。テイクアウト全般に関する課題と、特定のメニューに対しての課題に分けて紹介します。

テイクアウト全般に対して感じる課題

日清オイリオグループが行った調査では、テイクアウトに対する課題感として次のような結果が出ています。

<出典>テイクアウト・デリバリーに関する調査|日清オイリオグループ(2022年3月調査)


上図のような調査結果から、次のようなことが分かります。

  • おいしさを保つことを難しいと考えている店舗が多い
  • おいしそうな見た目を保つことを難しいと考えている店舗が多い

以上は、テイクアウトの実施経験がない店舗の実施しない理由としても、上位に上がっている内容です。

店舗では調理したてで、味と見た目ともにベストな状態でのメニューが提供できますが、テイクアウトではおいしさやおいしそうな見た目の維持が困難なことが大きな課題となっています。

テイクアウト需要は堅調で、今後も広がりを見せる可能性があります。提供する側はその需要を満たし、継続して売り上げを確保するためにも、おいしさとおいしそうな見た目を保つ工夫が求められます。

特定のメニューに対して感じる課題

続いて、特定のメニューに対しての課題を見ていきましょう。

ご飯もののテイクアウトメニューでは、お米の質に関して次の2点の課題が多く挙げられています。

  • 「提供して時間が経つと固くなる」
  • 「提供して時間が経つと食感がボソボソする」

ご飯が固くなるのは、ご飯が水分を失ってしまうことが原因となって起こります。このような問題はテイクアウトに限らず店内での提供においてもしばしば聞かれる課題ですが、お客さまが口にするまでに時間が空きがちなテイクアウトメニューではより顕著です。

ご飯が固くなる、パサパサになるといった問題の原因や対策については、「ご飯がパサパサになる原因と対策―ご飯のおいしさを維持するためには」で詳しく紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

また、麺類のテイクアウトメニューについては、和麺・中華麺・パスタいずれにおいても上位に上がっている課題は、次の2点です。

  • 「麺同士がくっついてしまい食べづらい」
  • 「麺のコシが保てない/麺が伸びてしまう」

テイクアウトメニューのおいしさやおいしそうな見た目を維持するためには、以上のような課題の解決が必要です。

テイクアウトメニューのおいしさを保つためには?

課題解決のためにはどういった対策が有効でしょうか。次のようなものが考えられます。

時間で劣化しにくいメニューを考える

調査では、テイクアウトメニューの拡販に効果があった対策として、下記のように「経時劣化しにくいメニューに絞り込んだ」とする回答がもっとも多い結果となっています。

<出典>テイクアウト・デリバリーに関する調査|日清オイリオグループ(2022年3月調査)

例えば、水分が減少することで味や食感が変わるようなメニューは経時劣化しやすいメニューと言えます。水分を保つ手段があればそれを活用する、手段がなければ、提供を避けることが対策となります。

テイクアウトメニューの味の劣化は、通常時間経過に伴い起こります。そのためできるだけ早く召し上がっていただくよう、お客さまにお声掛けすることも対策の一つ。あるいは、冷めてもおいしく食べられるメニューを積極的に取り入れることも有効です。

おいしさを維持するための機能性油を使う

ご飯もののメニューでは、ご飯が固くなることでおいしさが損なわれ、麺類のメニューでは麺のコシや伸びが課題となります。

これらの課題に対しては、機能性油を使う方法があります。機能性油を使うことで、時間が経ってもおいしさを保つことが可能です。

日清オイリオでは、ご飯の乾燥を抑える炊飯油や、麺のほぐれやツヤ・食感を維持する麺さばき油などをご用意しております。

このような機能性油を有効活用することで、時間が経過してもおいしさを保てるテイクアウトメニューを提供することができます。

麺さばき油については「麺さばき油」をご覧ください。

メニューに適した容器を使う

テイクアウトのおいしさを保つためには、メニューに適した容器を選んで使用することも重要です。

例えばご飯とおかずがしっかり区切られていておかずの汁がご飯側に入り込まないような容器や、麺とスープを分ける容器などが考えられます。また、温かいメニューでは保温性が良く温かいまま持ち帰ることができる容器を選ぶと良いでしょう。

電子レンジでの温め直しを前提にしている場合は、電子レンジで使用できる素材を選ぶ必要があります。

食べる前に調理してもらう方法を取り入れる

おいしく食べてもらうために、持ち帰ったあとにひと手間の調理をしてもらうという方法もあります。

例えば電子レンジでメニューの一部やスープを温めてもらう、食べる直前に薬味や香辛料をかけてもらうといったことで、できたてのおいしさに近づくことが期待できます。

調理方法が簡単で分かりやすければ、このような手間は、食べる前のワクワク感を高める効果にもつながります。ただし、ひと手間の調理が食べる人にとっての負担になるようでは敬遠されてしまいます。わかりやすい説明文を記載するなどの配慮も必要です。

テイクアウトメニューのおいしそうな見た目を保つためには?

次のような工夫で、おいしそうな見た目を保つことができます。

容器の形と大きさ

仕切りがあって多少の揺れでは盛り付けが崩れないような容器を選びます。

提供するメニューに適した形の容器を選ぶ、または仕切りなどを使って、容器内で揺れ動かないようにするなどの工夫が有効です。

ふたが透明な容器で見えやすく

ふたが透明な容器を使うと、盛り付け時の状態を目にしてもらうことができます。これにより、おいしそうな見た目の印象を持ってもらえます。

もし持ち帰りの途中で崩れてしまったとしても、店舗側ではきちんと盛り付けしていたことを確認してもらえるため、印象を損ないにくい効果も期待できます。

盛り付けの量を縦と横で考える

容器の中での盛り付けは、横方向と縦方向のボリュームを切り分けて考えることが重要です。

横方向にはスカスカにならないようすき間なく詰め、縦方向にはギュウギュウにならないように少し余裕をもたせるのがポイントです。

料理がふたに密着してしまうとおいしそうには見えにくいため、注意が必要です。

テイクアウトメニューにはおいしさと見た目を保つ工夫が必要

テイクアウトメニューの課題と解決策を中心にご紹介しました。2020年を境に外食産業には大きな変化が訪れ、多くの店舗がテイクアウトメニューを提供しています。その中でテイクアウトに関しての課題も明確になってきました。おいしさを保つ工夫やおいしそうな見た目を保つ工夫が必要であることを、多くの店舗が感じているようです。

テイクアウトメニューには、まだまだ需要があります。課題を解決し、お客さまが満足するテイクアウトメニューの提供ができれば、店舗全体の売上向上にもつながるはずです。

売上向上のためには、おいしさを保ったテイクアウトメニューの提供だけでなく、お客さまに喜ばれる通常のメニュー開発も重要です。通常のメニュー開発のポイントについては、「飲食店のメニュー開発を成功させるには?ポイントや失敗しないための注意点を解説」で紹介しています。あわせてご覧ください。

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