業務用油にはどんな種類がある?特徴・用途・機能などをご紹介
2024.04.26
調理のときに使う油にはさまざまな種類があります。炒め用・フライ用には菜種油(キャノーラ油)、風味付けにはごま油などと、風味で使い分けている人も多いのではないでしょうか。実はその他にも、出来立てのおいしさを長持ちさせる油や、作業性を良くする油、劣化しにくくコスト抑制に寄与する油など、飲食店の課題を解決することのできる油も存在します。
さまざまな業務用油脂について、種類や特徴、機能など幅広くご紹介します。
目次
飲食店で使われている油の種類
飲食店ではさまざまな種類の油が用いられており、使用量ではフライ油が最も大きな割合を占めています。
容器は斗缶のイメージが強いものの、ピロー(柔軟性のある袋状の容器)やBIB(Bag-In-Box:内袋に油を入れ、それを箱に収めた容器)といった、利用環境に合わせて選べる容器も幅広く展開されています。どちらも一斗缶と比べると軽くて扱いやすく、ごみの減量にもつながります。
さらに、業務用油には特別な風味や機能を持った油が多数存在し、それらをうまく活用することで、飲食店が直面する課題の解決に役立てることが可能です。
このように多岐にわたる業務用油脂の種類ですが、そんななかで用途や目的に合わせてどのように選べばよいのでしょうか。風味で選ぶ場合と、機能で選ぶ場合に分けて解説していきます。
風味で選ぶ
料理の味わいを左右する重要な要素として、油の風味は欠かせません。料理に合った風味の油を選択することで、グッと奥深い味わいにつながります。ここでは使用量の多いフライ油用途の業務用油の風味と、その他、特に特徴的な風味を持つ業務用油について紹介していきます。
主にフライ油として使用される業務用油の風味
フライ油用途として使用される代表的な油種の風味としては、次のようなものがあります。
においが少なくあっさりとした風味の油種
- 菜種油(キャノーラ油)
- べに花油(サフラワー油)
- ひまわり油
- パーム油
など
日本国内では、菜種油(キャノーラ油)がポピュラーですが、べに花油(サフラワー油)やひまわり油、フライ調理時のサクミが特長のパーム油も広く使用されています。これらのあっさりとした油種の使用は、調理する食材本来の味を活かすことにもつながっています。
コクがあり油の風味が活かされる油種
- 大豆油
- とうもろこし油(コーン油)
- 綿実油
- こめ油
など
これらは料理に油のコク・うまみを付与しやすい種類であり、綿実油は天ぷら専門店で、こめ油は米菓子メーカーやこだわりのある中食・外食店で使用されることが多い油です。さらに、各油種をブレンドした商品もあり、目的や予算に応じて選択することが可能です。
特に特徴的な風味を持つ業務用油
料理に使う業務用油には、特徴的な風味を持つ油もあります。代表的なものを紹介します。
オリーブオイル
地中海沿岸地域の代表的な樹木であるオリーブの果実を原料とし、フルーティーな香りが特徴。イタリア料理やスペイン料理で多く利用されています。収穫時期や製造方法により異なる風味を持ちます。
ごま油
香ばしいごまの風味が特徴で、中華料理をはじめ韓国料理や和食にも好んで使われている油です。広く知られている純正ごま油のほか、製造方法やブレンドの違いによって風味の強弱が異なる様々な種類があります。
風味油
バターやガーリック、和風だしなど、香味素材の自然な風味を再現できるオイルです。ネギやガーリックなどを油で煮出す工程や、バターを冷蔵保管したり溶かしたりする手間を削減できます。
以上、紹介したさまざまな油の特徴については、次の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
機能で選ぶ
食用油のなかには、酸価の上昇を抑えて長持ちする油、サクッと揚げられる油など特別な機能を持ったものが存在します。
さらに、麺のほぐれを維持する、ご飯のおいしさを長持ちさせるなど、専門的な機能を高めた油もあります。
機能性を持つ油を上手に使うことで、コスト削減、作業効率の向上、メニュー開発など、飲食店の課題解決につながります。
例としては、次のようなものがあります。
劣化しにくく、長く使えるフライ油
油脂の劣化を示す指標の1つ“酸価”の上昇を抑制するフライ油があります。上手に活用することでフライ油の節約につながります。また、下記にご紹介したフライ油を使用することでサクッとした食感を持続させることもできます。
酸価上昇を30%抑制して長持ちする油
酸価上昇を抑制する油として代表的なのが「日清スーパー長持ち油」シリーズ。独自製法を組み合わせることで長持ち機能を強化してあります。「日清スーパー長持ち油 キャノーラ」のほかにも、カラッとサクッとあっさりした仕上がりに大豆油のコクのある風味を合わせ持つ「日清スーパー長持ち油 大豆&キャノーラ」、大豆油のうまみはそのままに長く使えて経済的な「日清スーパー長持ち油 大豆」など、油種の異なるラインアップがあります。
長持ち×揚げものの吸油量を抑制する油
酸価上昇抑制に加え、揚げ物の吸油量を抑制する効果を持った油が「日清吸油が少ない長持ち油」。
油切れが良いので油っこさが低減されるほか、サクミが維持され時間がたってもおいしさがキープされます。
長持ち×サステナビリティに配慮した油
酸価上昇を抑制し長く使えるうえに、サステナビリティに配慮されたRSPO認証パーム油(MB品※)を使用した油が「日清スーパーデリカエース キャノーラ&パーム」です。パーム油によってフライ安定性を持ちながら、揚げ物のサクミを持続させることができます。
サステナビリティ(持続可能性)とは
環境や経済などに配慮した活動を行うことで、社会を持続的に成長させていく考え方です。
特にパーム油において、持続可能な生産や取引を担保するための取組として知られているのがRSPO認証制度です。
※MB認証油は、認証農園からの認証油が流通過程で他の非認証油と混合される認証モデルです。物理的には非認証油も含んではいますが、購入した認証農園とその数量は保証されます。
おいしさを長持ちさせる油
ご飯におすすめ:炊飯油
お米一粒一粒をコーティングすることで長時間保温しても水分が減少しにくく、乾燥を抑制する油です。使用方法は炊飯時に少量添加するだけです。選ぶ商品により、おいしさを長持ちさせるための特長がことなります。
炊飯油のなかでも「日清炊飯油CH」は低温時のご飯の老化を抑える機能も持ちます。また、「日清炊飯油お店のごはん用」は粒立ちを良くする機能も持つことから、汁がしみこみやすい丼ものや、保温時の食感維持に役立ちます。
炊飯油を使うメリットや選び方については、次の記事をご覧ください。
麺の「ほぐれ」「ツヤ」「コシ」に:麺さばき油
麺をゆで上げたあとに少量絡ませるだけで、麺の表面にむらなくコーティングされ、麺のほぐれやすさを維持します。さらに、麺に対する油膜のコーティングは水分吸収を抑え、麺の伸びを抑制します。その結果、時間が経過しても麺が過度に伸びることなく、出来立てのような食感、照り、ツヤが持続します。
外食向けには、麺に合わせて、菜種油ベースの中華麺用とオリーブオイルベースのパスタ用がラインアップされています。
麺さばき油は、麺料理をテイクアウトする際に特におすすめです。次の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
作業性を高める油
ご飯の盛り付け作業効率化に:炊飯油
炊飯油にはおいしさを長持ちさせる機能だけでなく、作業性を高める機能もあります。
ご飯のほぐれやさばき性が良くなり、しゃもじにご飯がつきにくく、盛り付け作業が楽になります。また、おにぎり成形時の作業性も向上します。
洗浄作業の省力化に:炒め油
炒飯や焼きそばなどの炒め料理や卵焼きなど、焦げ付きやすい調理シーンに適した油です。鉄板やフライパンの表面に均一に広がることで、焦げ付きを軽減することができます。
香味素材の自然な風味を手早く:日清素材のオイル
手軽に本格的な香り付けができ、料理が引き立つ風味油です。
ネギやガーリックを油で煮出す手間や、バターを冷蔵保管したり使用前に溶かしたりする手間を削減できます。少量でもしっかりと風味付けができるのでコストメリットが期待できます。加熱調理時にも焦げ付きにくいため調理後の洗浄も省力化でき、時間短縮にもつながります。
「炒めネギ風味」「濃厚バター風味」「ローストガーリック風味」「しびれラー油」「和風だし風味」と幅広いラインアップがあり、料理に合わせて使い分けることができます。
業務用油を上手に使ってコストや効率などの課題解決に
飲食店で使われることの多い油について、種類や選び方などを解説しました。
今回ご紹介した各業務用油は、メニューの食感や風味を良くするだけでなく、コストや作業効率などの課題解決につながる機能や、お客さまにとっての食べやすさを高める、時間がたってもおいしさを維持するといった機能を持つものもあります。
飲食店におけるさまざまな課題は、調理時に使う油によって解決へつなげることが可能です。
それぞれの油の特徴を知り、お店の課題解決や、新たなメニュー開発に役立ててはいかがでしょうか。