ごま油ガイド：種類と健康性

ごま油は、特有の香ばしさやコクを付与する目的のため中華料理や日本料理などで幅広く活用されています。このページでは、ごま油の種類と特長、抗酸化成分であるゴマリグナンなどごま油のヘルシー成分についても解説していきます。

ごま油とは

ごま油は製造方法の違いによって風味の強弱が異なる様々な種類があります。

ごま油の製造工程 

ごま油は製造方法によって2種類に大別されます。焙煎した特有の香ばしさを持つ琥珀色の「焙煎ごま油」と、無焙煎で無色の「精製ごま油」です。

焙煎ごま油

ごま種子は高温で加熱処理すると特有の香気成分が発生し、風味が変化します。同時にメイラード反応によって着色が生じます。高温で時間をかけて煎るほど油の色は濃く仕上がり、ごま油特有の香ばしい香りが強まります。また脱色・脱臭を行わないため、特有の香ばしい風味、色、成分は保持されます。

精製ごま油

ごま種子を生のまま (無焙煎) 搾り、サラダ油などと同様に脱色・脱臭等の精製工程で不純物を除去して製造したものです。焙煎ごま油のような香ばしさはなく、ごま特有のコクがある無色の油に仕上がります。

ごま油製品の種類- 特長と使用用途 –

ごま油製品には、焙煎ごま油、調合油、精製ごま油の3種類があります。それぞれの特長についてみていきましょう。

種類	特長	使用用途
焙煎ごま油	ごま種子を焙煎し、圧搾して製造します。焙煎により、ごま油独特の色と香りが生みだされます。	独特の香ばしく豊かな香りが特長です。サラダや和え物、焼き肉のタレなどの生食用途から天ぷら等の揚げ油へのブレンド用途まで幅広く利用できます。
調合油/調合ごま油※	焙煎ごま油と大豆油や菜種油等をブレンドした油です。ごま特有の香味を巧みに調整して仕上げています。 ※調合油のうち、焙煎ごま油の割合が60％以上の場合は、「調合ごま油」と表示される場合があります。	濃い口タイプは濃厚な香り立ちとうま味を持ち、香ばしい香りと適度な苦味が加熱調理でさらに引き立ちます。しっかりとした味付けの炒め物や焼き物でも本格的なごま油の香りを実感することができます。 中庸タイプは、中華料理、天ぷら、炒め物、和え物などで、マイルドなごまの風味を楽しむことができます。 あっさりタイプは、ごま特有の香ばしさを軽やかに付与することができます。揚げ物にも適しています。
精製ごま油	ごまを生のまま搾り、精製したごま油です。焙煎を行わないので色・香りが無くさらっとしています。	すっきりとした旨みが特長で、素材の味を活かせる油です。天ぷらなどを中心に使用されています。

ごま油の原料

ごまの種子は色によって白、黒、茶、黄（金）に分かれ、世界には約3,000種の品種や系統が存在します。日本では主にアフリカのナイジェリアやタンザニア産のごまが輸入され、搾油されています。ごま種子の含油率は約45-55%と高く、種子を圧搾して油を採取することができます。

ごま油のヘルシー成分

ごま油には抗酸化成分やオレイン酸、リノール酸など健康成分が含まれています。

抗酸化成分（ゴマリグナン）

ごま油は抗酸化成分であるゴマリグナン（「セサミン」、「セサモリン」、「セサミノール」、「セサモール」など）を含みます。ゴマリグナンはごま油自体の酸化安定性を高めるとともに、人間のからだの中でも抗酸化作用を発揮し、コレステロール増加を抑制し、脂肪酸の代謝を促進するといわれています。ゴマリグナンはごま油の中に0.5～1％程度含まれており、焙煎の程度及び調合比率によって異なります。

脂肪酸（オレイン酸、リノール酸）

ごま油の主成分はオレイン酸とリノール酸で、合計80%以上を占めています。

オレイン酸（オメガ9系脂肪酸）

血中LDL（悪玉）コレステロールを上げにくいといわれています。

リノール酸（オメガ6系脂肪酸）

体内で作ることができないため食べ物から摂取しなければならず体の組織が正常に機能する上で欠かせない必須脂肪酸です。また、血中コレステロールを上げにくいといわれています。

●ごま油とえごま油の違い
ごま油の原料は『ごま(ゴマ科)』、えごま油の原料は『えごま(シソ科)』で違う植物です。
えごま油は必須脂肪酸（体内で作ることができず、食品から摂らなければならない成分）の1つであるα-リノレン酸（オメガ3系脂肪酸）を豊富に含んでいます。クセがなくさっぱりとした風味のため、色々な料理に合います。但し熱には弱い性質を持っているため、加熱調理には向かず、料理にかけて食べるのに適しています。

ごま油には、風味の強弱が異なる様々な商品があります。また調合油を用いることで、より幅広い料理にご利用いただくことができます。ぜひごま油の活用を検討ください。