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植物油脂の構造・脂肪酸の特性

植物油脂の構造・脂肪酸の特性

植物油脂の特長は、構成する脂肪酸の種類と割合によって決まります。
各脂肪酸の特長を理解することで、用途に適した植物油脂を選択できるようになります。
用途に会った適切な植物油脂を選べるように、このページで植物油脂の構造と脂肪酸の特性について解説します。

植物油脂の構造

植物油脂の主成分は「トリアシルグリセロール(Triacylglycerol)」と呼ばれます。このトリアシルグリセロールは3つの脂肪酸がグリセリンに結合した構造をしています。この脂肪酸の種類と構造が、植物油脂の特性と用途に影響を与えます。

脂肪酸の構造と特長

脂肪酸はトリアシルグリセロールを構成する要素であり、様々な脂肪酸が存在します。

代表的な脂肪酸

脂肪酸の分類

以下に主な脂肪酸の分類方法を説明します

脂肪酸は、炭素(C)数と二重結合の有無に基づいて分類されます。

【脂肪酸の分類】

①鎖の長さ(炭素/C数):短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸

➁炭素二重結合の数:0(飽和脂肪酸)、1以上(不飽和脂肪酸)

➂二重結合の位置:

「末端のメチル基から数えて何番目に最初の二重結合があるか」で、 オメガ3系、オメガ6系、オメガ9系等に分類されます。α-リノレン酸は、3番目に最初の二重結合があるので、オメガ3系の脂肪酸です。オレイン酸は、9番目に二重結合があるので、オメガ9系の脂肪酸です。

例:α-リノレン酸
 ①鎖の長さ(炭素/C)数:18(長鎖脂肪酸)
 ➁炭素二重結合の数:3【不飽和脂肪酸】
 ➂二重結合の位置(メチル基末端から数えて):3番目【オメガ3系脂肪酸】

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いは?

脂肪酸の炭素(C)の鎖の中に二重結合がある脂肪酸を不飽和脂肪酸と呼び、反対に二重結合がないものを飽和脂肪酸と呼びます

飽和脂肪酸:一般に常温で固体で、乳製品や肉などの動物性脂肪に多く含まれています

不飽和脂肪酸:常温では液体で、植物油に多く含まれています

代表的な不飽和脂肪酸にはオレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸があり、一般的に脂肪酸の二重結合が多いほど、保存安定性が低くなる傾向があります

脂肪酸組成から見た油脂の特長とおすすめの用途

同じように見える植物油でも油脂の原料によって含まれる脂肪酸の種類は異なります。例えば、菜種油はオレイン酸、大豆油はリノール酸、パーム油はパルミチン酸を多く含有しています。脂肪酸の違いによって性質(安定性、健康機能、硬さなど)が異なります。

飽和脂肪酸:ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸
<参考>日本油脂検査協会分析値

例えば、不飽和脂肪酸の割合が多いアマニ油は、酸化しやすい傾向にあります。一方、飽和脂肪酸の割合が多いパーム油は酸化しにくく、保存安定性に優れている特長があります。このため、パーム油はスナック菓子の揚げ油や煎餅などのコーティング油として活用されています。

油脂のトリセツ「植物油脂の多彩な側面 -調理機能と機能性油脂、健康成分」に詳しく説明していますので、合わせてご覧ください。

植物油脂の選択は、風味やコストの比較だけでなく、品質や保存安定性、差別化などにも大きく影響する脂肪酸の種類やその割合を考慮することも大切です。脂肪酸の特性を理解することは、適切な油脂の選択につなげることができます。

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