ホーム > 油脂のトリセツ > 植物油脂の多彩な側面-調理機能と機能性油脂、健康成分-

植物油脂の多彩な側面-調理機能と機能性油脂、健康成分-

植物油脂の多彩な側面-調理機能と機能性油脂、健康成分-

業務用において、従来の一般的な油にとどまらず、香味油や機能性油脂(例:麺さばき油、炊飯油など)を取り入れることで、商品価値の向上や作業効率の改善による総合的なコスト削減が促進されています。
また、かつて一般的だった「油=太る」という印象から、今日では植物油脂の健康機能が注目を集めています。必須脂肪酸であるオメガ3系脂肪酸、中鎖脂肪酸(MCT)などの健康機能成分が含まれる油脂が良質な脂質として摂取されるようになり、健康機能を持つ油脂加工品も多く見られるようになりました。
こちらでは、おいしさだけでなく、植物油脂が持つ調理機能と健康成分に焦点を当てて解説します。

油脂の調理機能

味の付与

植物油脂で調理することにより、料理にコクをもたらしたり、食材の味を引き立てます。また種類によって味わいが変わり、例えば、大豆油や米油などは油のコク味や重たさを感じ、菜種油(キャノーラ)はあっさりとした風味で、食材の味がより引き立つ油脂です。このように油種特有の風味があります。

香りの付与

素材から引き出される香りは、水溶性の成分と油溶性の成分に分けられます。水溶性成分は水に溶け込みやすく、油溶性成分は油に溶け込みやすい性質を持っています。たとえば、ラー油は唐辛子の香味成分を油に抽出した香味油の一例です。他にもガーリックオイルやネギオイルなど、さまざまな香味成分を含んだ香味油が存在します。これらの香味油を少量使用することで、手軽に本格的な香りと風味を料理に付与することができます。

優れた高温調理機能

植物油脂は、特に高温での調理(例:揚げ物)において優れた機能を発揮します。通常の煮物などの水を使った調理では、温度が100℃を超えることはありませんが、揚げ物では約150-200℃という高温で短時間に素早く調理することができます。

揚げ物においては、表面の水分を素早く蒸発させる役割を果たします。その結果、表面をサクサク、カリカリとした食感に、 具材はふっくら、ジューシーに仕上げる役割を果たします。さらに、高温短時間調理は、熱による栄養素の分解を最小限に抑え、栄養価を保持しながら おいしさを引き出す効果があります。

離型効果

炒める際に油を使用することで、鉄板やフライパンの表面と食材との間に油膜が形成され、食材の付着を防ぐ効果が得られます。同時に、食材表面の油膜は、食材の乾燥を防ぐ効果もあり、食感や見た目を向上させます。

さらに、鉄板やフライパンの表面に均一に広がりやすい機能性油脂を使用することで、 油の使用量を減らすことができます。同時に、食材の表面に均等に油膜を形成することが容易になり、食材が直接フライパンに触れることを防ぎ、焦げ付きを軽減することができます。

機能性油脂

特定の調理用途に適した「機能性油脂」が存在します。

これらの油には油と水の物性を調整する少量の素材を含んでいるため、プロの方の料理の品質と調理効率をさらに向上させることができます。

●炒め油
炒飯、焼きそばなどの炒め料理、卵焼き、菓子などの離型に適した専用油です。
鉄板やフライパンの表面に均一に広がりやすく、食材の表面に均等に油膜を形成しやすい特性があります。そのため、食材が直接フライパンに触れることを防ぎ、焦げ付きを軽減することができます

●麺さばき油
麺類の調理に特化しています。茹でた後の麺同士の付着を防止し、麺のほぐれやすさを向上させます。これにより、盛り付け時の作業効率が向上します。さらに、麺に対する油膜のコーティングは、水分吸収を抑え、麺の伸びを抑制します。その結果、時間が経過しても麺が過度に伸びることなく、出来立てのような食感、照り、ツヤが持続します。


●炊飯油
ごはん粒の表面に薄い油膜を形成することにより、米飯の老化(乾燥や硬化)を防ぎます。この油膜によるコーティングは炊いたごはんの風味と食感をより長く保つ役割を果たします。また、おにぎりを成型する際には、炊飯油の効果により、おにぎりが型から離れやすくなり、おにぎり1つ1つの重量安定性が向上します。さらに釜離れが改善されることで、歩留り向上も期待されます。

●コーティング油
主に米菓やスナック菓子の製造時に使用され、独特の風味を付与します。また、酸化安定性が高いことが特長で、製品の風味や品質を保持する役割を果たします。

油脂/脂肪酸の健康機能

脂質は、私たちの健康に不可欠な栄養素の一つであり、たんぱく質や炭水化物とともに三大栄養素に数えられます。油脂は1gあたり9kcalのエネルギーを供給し、一般的に全摂取エネルギーの20-30%が健康的とされています。また食事量が減少する高齢者などにおいては、エネルギー効率の高い油脂が栄養改善に重要な役割を果たします。

油脂は単なるエネルギー源に留まらず、その種類に応じてさまざまな健康機能成分を含んでいます。ヘルシー成分には油脂の主要な構成成分である脂肪酸と油溶性成分があり、植物油脂を取ることでこれら成分も摂取できます。

植物油脂の主なヘルシー成分

α-リノレン酸(多く含む植物油:アマニ油、えごま油)

オメガ3系の必須脂肪酸で、高血圧予防の作用があるといわれています。
体内で、血中中性脂肪を下げるEPA(エイコサペンタエン酸)、脳細胞の活動を支えるDHA(ドコサヘキサエン酸)など同じオメガ3系の脂肪酸に変換されます。

<訴求例:一日の目安量を満たす量>
日清アマニ油は小さじ1杯(4.6g)で、オメガ3(α-リノレン酸)が2.5g摂取できます

1日当たりのオメガ3摂取目安は1.6-2.2g
(出典: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」)

リノール酸(多く含む植物油:コーン油、綿実油、大豆油)

オメガ6系の必須脂肪酸で、血中コレステロールを上げにくいといわれています。また、不足すると皮膚障害が生じることがあります。

オレイン酸・(多く含む植物油:べに花油、オリーブオイル、なたね油)

オメガ9系の脂肪酸で、LDL(悪玉)コレステロールを上げにくいといわれています。

脂溶性成分のヘルシー効果

ビタミンE(多く含む植物油:ひまわり油、綿実油、べに花油、米油、コーン油)

抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける成分です。
<栄養強調表示の基準>
・「高い旨」を表示する場合:2.4mg以上(食品100g当たり)
・「含む旨」又は「強化された旨」の表示をする場合:1.2mg以上(食品100g当たり)
<出典>:消費者庁食品表示基準
※「日清べに花油」「日清ひまわり油」は栄養機能食品です

ゴマリグナン(多く含む植物油:ごま油)

ごまに含まれる特有の微量成分で、代表的なものには「セサミン」、「セサモリン」、「セサミノール」、「セサモール」などがあります。ごま油の中には0.5~1%程度含まれています。からだの中での抗酸化作用、コレステロール増加抑制、脂肪酸の代謝(β酸化)促進等が報告されています。

オリーブポリフェノール(多く含む植物油:オリーブ油)

オリーブの果実や葉に含まれるポリフェノールです。オリーブオイルの苦味や辛味の成分で、一般的に若い緑の果実から絞ったオリーブオイルに多く含まれています。抗酸化作用があり、LDL(悪玉)コレステロールの酸化を抑える効果が知られています。

●必須脂肪酸の必須ってどういう意味?
私たちの体が正常に機能するために必要な脂肪酸のうち、体内で合成できないために食事から摂取しなければならない脂肪酸が必須脂肪酸です。
必須脂肪酸には、オメガ3系脂肪酸(α-リノレン酸、DHA、EPA)やオメガ6系脂肪酸(リノール酸)があります。
日清アマニ油は小さじ1杯(4.6g)でα-リノレン酸2.5g含み、1日分のオメガ3系脂肪酸を摂取することができます。

※「オメガ3」と「n-3」の表記について、オメガ3系脂肪酸とn-3系脂肪酸は同じ意味です。

植物油脂は、料理に風味とコクを与え、効率的な調理プロセスを実現する頼りになる素材です。さらに、必須脂肪酸やビタミンEなどのヘルシー成分が含まれており、現代の健康志向な消費者ニーズに応えることができます。多彩な調理機能と健康成分を活かして、商品の可能性を広げてみてはいかがでしょうか。

おすすめ商品