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植物油の選び方-主要3種の植物油(菜種油、大豆油、パーム油)の特長-

植物油の選び方-主要3種の植物油(菜種油、大豆油、パーム油)の特長-

植物油は、菜種、大豆、パームヤシの実などの植物原料から油を搾り、取った油の不純物を除去する工程を経て、植物油としてお客様に届けられます。様々な種類の植物油がありますが、植物油の風味や特長は、原料植物の種類によって大きく異なります。

代表的な植物油である菜種油、大豆油、パーム油の3種類について、それぞれの特長と利用用途をご紹介します。

それぞれの植物油のおすすめ調理法

(おすすめ度:高い◎>〇)

植物油の特長
菜種油
クセがなく、さっぱりした風味
大豆油
特有のうま味とコクがある
パーム油
淡白な風味で、保存安定性が高い
揚げ物 天ぷら
揚げ物 コロッケ、から揚げ
炒め物
ドレッシング△(低温で固化)
菓子(揚げ、コーティング)
※メニューや用途に合わせて、それぞれの植物油をブレンドし使用できます

植物油の風味グループマッピング

(イメージ図)(当社調べ)

菜種油

原料菜種(セイヨウアブラナ)の種子
油分含量38-45%
風味クセがなく、さっぱり
主な産地カナダ、オーストラリア
主な用途多目的に利用可能。天ぷら、コロッケ、から揚げなどのフライ油、炒め油、生食用ドレッシングなど

菜種油は風味にクセがなく、加熱安定性に優れています。その特長から、単独あるいは他の油脂と混合して幅広い用途で使われおり、日本で最も消費量の多い油です。

菜種油とキャノーラ油の違いは?

現在国内で流通している「菜種油」は、ほぼ「キャノーラ品種」の菜種を使用しています。ほとんどの場合「菜種油」と「キャノーラ油」は同義語として使われています。

従来の「菜種」に多く含まれる脂肪酸の一種「エルシン酸/エルカ酸」については、1970年代に栄養的な問題が指摘されました。また、飼料用途に使用する際には「搾り粕」に多く残留する「グルコシノレート」についても家畜への影響が懸念されました。これらの課題に対して原産国のひとつであったカナダで「エルシン酸」と「グルコシノレート」をほとんど含まないように品種改良されたのがキャノーラ品種です。キャノーラ品種は、より優れた菜種油の油種として広く栽培、製造・販売されるようになりました。

フライ時のにおいが少ないハイオレイック菜種油とは

ハイオレイック菜種油は、品種改良により開発されたハイオレイック・ロ―リノレンタイプの菜種を使用した油です。においの元となる分解しやすい脂肪酸(α-リノレン酸)が少ないので加熱時のにおいが少なく、また、オレイン酸を多く含んでいるので酸化安定性が高いのが特長です。通常のキャノーラ油に比べ、さらっと感が長持ちする油っこくない油です。

大豆油

原料大豆の種子
油分含量16~22%
主な産地アメリカ・ブラジル
風味特有のうま味とコク
主な用途コロッケ、から揚げなどのフライ油、中華料理など

大豆油は特有のうま味とコクがあり、特に揚げ物に適しています。

大豆は日本においては馴染みの深い原料であり、油を搾った脱脂大豆は飼料原料など幅広い用途に使用されます。代表的な植物油で、世界では2番目に多く生産され、日本では3番目に多く使用されています。

大豆油にアレルギー表示は必要なの?

消費者庁通知より食品中に含まれる特定原材料等の総タンパク量が数ppmレベルに満たない場合は、アレルギー表示の必要性はないとされています。なお、大豆油の残存タンパク質量は1ppm未満です。

<参考>消費者庁 食物アレルギーに関する情報 アレルゲンを含む食品に関する表示についてのQ&A

パーム油

原料パームヤシの果肉
油分含量44-53%
主な産地マレーシア、インドネシア
風味淡白
主な用途惣菜、冷凍食品、菓子(揚げ、コーティング)など

パーム油は、ヤシ科の常緑高木であるパームヤシの果肉から抽出される油です。パームヤシは、大豆や菜種と比較して、同じ面積当たりの収穫量が非常に多い植物です。そのため、パーム油は世界で最も生産されている植物油脂であり、日本でも菜種油に次ぐ供給量となっています

パーム油は淡白な風味を持ち、保存安定性にも優れています。そのため、単独あるいは菜種油や大豆油とブレンドして、惣菜や冷凍食品、揚げ菓子、インスタントラーメンなどに幅広く利用されています。

一方、パーム油は菜種油などに比べると融点が高く、低温になると固化しやすい性質があります。冷却による分別処理を施すことで、固形状だけではなく、常温で液体の形状にし活用されています。液体(低融点)パーム油は、調理や菓子製造など広い用途において作業効率を高めることができます。特に寒冷地では、融点が低く固まりにくい特性を持つ液体(低融点)パーム油が適しています。

白濁したパーム油、白く固まったパーム油の使い方は?

菜種油などに比べ、パーム油は融点が高いので、冬季に低温で一部沈殿・白濁・固化することがありますが、品質には問題ありません。常温で固形状のパーム油の場合は湯浴で溶かしてから均一に混ぜて使用してください。低融点パーム油の場合は使用前(1~2 日前) に 15℃以上のなるべく暖かい場所に保管し、均一に混ぜて使用してください。寒冷地では作業性向上のために、融点が低く固まりにくい商品が適しています。

また、斗缶入り製品の内容量が少なくなっているのは、加熱溶解時に体積が増えるからです。

パーム油と環境保全について、RSPO認証って何?

植物油脂として世界最大の生産量となるパーム油は、急激な生産拡大に伴う森林開発により野生動物や温室効果ガス排出などに大きな影響を与えています。また、農園運営において児童労働を含む人権課題や土地の権利問題などが存在します。

そのため「持続可能なパーム油の生産と利用」の促進を目的として、さまざまな業界団体が協議し、国際的に認められた持続可能なパーム油の認証団体である「RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil):持続可能なパーム油のための円卓会議」を設立、関連法規への違反だけではなく、経済的に存続可能であること、環境的に適切で社会的に有益であることを第三者が検証する認証制度を策定しました。

それぞれの植物油には風味・味・性質に特長があります。メニューや用途によって適切な植物油を選んでご使用ください。

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