飲食店のランチ営業-役割やメニュー開発・サービスの工夫までを解説
2023.07.26
飲食店のランチ営業は、食材ロスの解消やディナータイム営業のための知名度向上など、さまざまな効果が期待できます。一方で上手に集客できない、思うように顧客満足度が上がらないなどの理由で、売上につながらないケースもあるようです。ランチ営業の売上を確実に上げるためには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、飲食店のランチ営業で顧客満足度を高め、売上アップにつなげる方法を解説します。
目次
ランチ営業の役割とは
飲食店にとってランチ営業にはどのような役割があるのでしょうか。ランチ営業に期待される効果としては、以下のようなものが挙げられます。
売上の向上
これまでディナータイム営業のみの飲食店の場合、まったく売上のなかった昼間の時間帯にも集客することで、単価の高いディナータイム営業には及ばないものの、一定の売上を生み出すことになります。
新たな顧客の獲得
比較的単価の安いランチ営業は、新たなお客さまを獲得する機会となります。ディナータイム営業では単価が高いうえに料理や接客に価格に見合うだけの価値があるのかも分からず、来店したことのなかった人も、試しに足を運びやすくなります。
ランチに訪れる人が飲食店の料理や雰囲気に魅了されれば、客単価の上がりやすいディナーにリピーターとして訪れてくれる可能性もあります。
食材・店舗の有効活用
ランチ営業はある意味、ディナータイムとの補完関係にあります。店舗の空時間をつくらず、余った食材の有効活用も可能です。
では、ランチ営業で売上を上げていくためにはどうしたら良いのでしょうか。この後順に解説していきます。
ランチメニューの開発のポイントは?
ランチ営業の売上を上げていくには、まずは顧客満足度の高いランチメニューを開発する必要があります。
ランチメニューの基本
ランチメニューの数として、一般的には、日替わりメニュー1~2種類、レギュラーメニュー1~3種類程度が多く見られます。
あまり増やし過ぎると混雑のピーク時に負担が大きくなるため、品数を絞るのがおすすめです。
ドレッシングやトッピングで目先を変えられるサラダ、作り置きしやすいデザートなど、工夫次第で手間をかけずにバリエーションを増やす方法もあります。
レギュラーメニューは、ディナータイム営業の人気メニューのミニ版として使う方法もあります。量を減らしてセットにするなど、ディナータイムメニューとリンクするやり方もあります。レギュラーメニューを気に入ったお客さまが、より単価の高いディナータイムメニューを求めて来店される可能性があります。また、同じ食材を使用することで、食材ロスの削減につながることも期待できます。
日替わりメニューは必須ではありませんが、集客効果を高めます。一度気に入ってもらえれば、リピートにつながる可能性が拡大します。
魅力のあるランチメニューのヒント
お客さまに選んでいただけるランチメニューにするには、さまざまな工夫が求められます。例えば次のようなものが考えられます。
地元の食材にこだわったメニュー
地産地消はサステナビリティ・地域貢献という現在の社会トレンドにもマッチし、店舗の経営姿勢をアピールできます。
新鮮な食材が安く手に入れやすく、地元生産者との契約でコストを抑える効果も期待できます。
旬の食材を使った期間限定メニュー
季節の旬の食材を活用したメニューは新鮮さと特別感を与えます。季節ごとに異なる限定メニューを提供することで、お客さまを飽きさせず、リピーターを増やすことにもつながります。
ヘルシー志向のメニュー
社会的な健康意識の高まりによって、ヘルシー志向の人が増加しています。また、多忙な現代人は朝食抜きや簡易的な内容の朝食も多いため、ランチにバランスの良い栄養を求める人もいます。ヘルシー志向のメニューは、こうした健康を意識する顧客層のニーズに応えることができます。
「ヘルシー」という枠によってランチメニューの種類が増えるほか、普段の日替わりランチや週替わりランチに少し飽きたリピーターも、目新しいランチを目当てに足を運んでくれることが期待されます。
また、このようにこだわりのある人は、そのニーズに応えてくれるメニューなら単価を上げても受け入れてくれやすく、売上拡大にも貢献します。
なお、ヘルシー志向の人には和風メニューも人気です。和風健康メニューについては、「しっかりおいしい和風健康メニューを効率的に提供するには?」をご覧ください
ボリューム感のあるランチセットの提供など
ボリューム感があり満足感の高いメニューは、特に若い層の集客に期待できます。SNSを通じて「盛り」「増し」が話題になり、人気となるケースも見られます。
ボリューム感を与えるためには量を増やす方法だけでなく、品数で強調する方法も良いでしょう。その際、さまざまな単品メニューを組み合わせると、食材の無駄を出さず、新しい料理を開発する手間や時間を省くこともできます。
ランチメニューに限らず、飲食店のメニュー開発のポイントについては、「飲食店のメニュー開発を成功させるには?ポイントや失敗しないための注意点を解説」が参考になります。あわせてご覧ください。
ランチ営業に有効なプロモーション戦略
ランチ営業の売上に貢献するプロモーション戦略を紹介します。
SNS
SNSは、特に若い世代で新規の店を開拓するメインツールとなっています。
くつろげる・外国風のカフェ・みんなでわいわいできる、などのような、雰囲気を重視する人も多いため、店内の雰囲気の魅力をアピールする発信内容も大切です。
またSNSの活用により、リアルタイムでのキャンペーンが容易になります。例えば雨の日はデザートやドリンクサービスを行うなど、タイムセール的なサービス提供も可能です。
シズル感を意識した魅力的なメニュー写真の投稿や、ランチに関するハッシュタグや地域名や店名でタグ付けするといった、SNSならではの発信方法を考えていきましょう。
ランチタイム限定の割引プロモーション
ランチタイムに限定した割引プロモーションを実施するのも効果的です。例えば特定のメニューにドリンクサービスを付ける、誕生月限定のデザートクーポンを提供するなどの方法があります。
ポイントカードの導入
上記と同じく、ランチタイム限定のポイント付与を実施します。ポイントを貯めると特別メニューサービスやグッズがもらえるなど、ランチに通うのが楽しみになるような施策を検討します。
人気メディアの活用
レストラン予約サイトやアプリに登録することで、これまで知られていない幅広い層にアプローチが可能となります。
店の認知度の拡大に貢献し、自社サイトだけで展開するよりも広告効果が向上します。初めての場合には、まずは無料プランを提供しているサイトから試すのがおすすめです。
ランチ営業の満足度を高めるサービスの工夫
リピートを獲得し、ランチ営業の効果を得るためには、満足度を高める工夫が必要です。
待ち時間短縮
ランチに限りませんが、あまりに長い待ち時間が発生すると、お客さまが待つのを諦め、他店へ移る可能性があります。特にランチの場合は、仕事中の昼休みなど限られた時間しかないお客さまがいる可能性もあるため、一層待ち時間の短縮が求められます。
カウンターOKのお客さまを先にお通しする、人数によって案内の順序を変更するなど、柔軟に対応することで、待ち時間短縮につなげられます。ただし、そのような対応をする可能性があることを、お客さまへあらかじめアナウンスしておく配慮が必要です。
また待ち時間にメニュー表を渡しておくと、お客さまが注文するメニューをあらかじめ決めておくことができ、回転率の向上に役立ちます。
ランチタイムのネット予約システムを提供し、活用を促すと、待ち時間の短縮とともに顧客情報の収集もできて、営業戦略に活用できます。ただし、回転率が下がってしまいがちなので、単価の高いランチを提供するお店におすすめです。
飲食店の待ち時間対策については、「飲食店の待ち時間をどうやって短縮するか?イライラさせない工夫が重要」で解説していますので、ご覧ください。
会計の円滑化
会計レジへ行くお客さまと入店されるお客さまがスムーズにすれ違えるよう、通路は広めに確保しておきます。
また、端数が出にくい価格設定を行う、レジにおけるキャッシュレス決済を導入するといった方法でも、会計時の円滑化が図られます。
調理の効率化
ワンプレートメニューを多くすることで、盛り付けから提供、後片付けの手間を軽減できます。
あわせてメニューの種類を適宜見直し、調理時間の短縮が可能なメニューや食材を検討することも有効です。
調理の効率化については「調理効率化のポイントは?飲食店経営の安定化を図るために考えるべきこと」や「飲食店の回転率向上で売上アップ!改善のノウハウや具体的な方法を紹介」も参考になります。
ランチタイム限定のサービス提供
お客さまの満足度を高める、ランチタイム限定の独自サービスを提供します。
ご飯のおかわり無料、ピークタイム前に注文すると割引やプレゼントを提供する、雪の日、雨の日限定で割引や温かいドリンクサービスを付けるなどが、その一例です。
飲食店のランチ営業、さまざまな工夫で成果につなげよう
この記事では、ランチタイムにおける売上向上のための具体的な方法を考えていきました。
ランチタイムには、ランチでお店を気に入ったお客さまが、より客単価の上がりやすいディナータイムに足を運ぶきっかけになる効果も期待できます。
ランチ営業という夜とはまた異なる状況に目を向け、メニュー開発から限定サービス、プロモーションまで工夫を凝らし、ランチタイムの売上を伸ばすとともに、自店舗のファンを増やしていきましょう。
なお、一定の時間にお客さまが集中するランチタイムの営業において、効率化は重要なポイントです。効率化には、「炊飯油」「麺さばき油」などの便利な油の活用も有効な手段です。適量加えるだけでご飯や麺のおいしさを長持ちさせるとともに「ご飯の盛り付け」や「麺のゆで置き」などがしやすくなり、調理作業の効率化を図れます。
忙しいランチタイム、お客さまに満足いただけるメニューをスピーディーに提供し、満足度を高めるためにも、ぜひ活用を検討されてはいかがでしょうか?
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