オリーブオイルガイド:種類と健康性
2024.03.29
健康志向の消費者にとって欠かせないアイテムとなったオリーブオイル。
ここではオリーブオイルの種類や健康性についてご紹介します。オリーブオイルへの理解を深め、用途に応じた選択にお役立てください。
目次
オリーブオイルの違いを理解しよう
製造工程
オリーブオイルとは、オリーブの果実から搾ったオイルのことです。さまざまな工程を経て出来た油は製造方法、風味、化学分析値(酸度など)によってグレード分けされます。
<オリーブオイルの製造工程>
国際オリーブ協会(IOC)による※1グレード分け
エキストラバージン(EXV)とオリーブオイル(ピュア)の違い
現在、日本で主に市販されているエキストラバージン(EXV)とオリーブオイル(ピュア)にはそれぞれ以下のような特長があります。
グレード | 製法 | 風味 | 主な用途 |
エキストラバージンオリーブオイル(EXV) | オリーブの果実を搾ってろ過しただけの、なんら化学的処理を行わない一番搾りのオイルをバージンオリーブオイルと呼びます。官能検査や酸度などを評価し、風味欠点が無く、酸度が0.8%以下のものは最高級のオリーブオイル「エキストラバージンオリーブオイル(EXV)」とされています。 | オリーブ特有の風味が強く、豊かな香りがあります。辛みや苦味等も感じられます。 | サラダ、マリネ等の生食や加熱料理の仕上げの香りづけ |
オリーブオイル(ピュア) | 精製したオリーブオイルとバージンオリーブオイルをブレンドしたオイルです。 以前は、ピュアオリーブオイルと呼んでいましたが、現在では単にオリーブオイルと表示することになっています。 | まろやかな風味 ほのかにオリーブ風味が感じられます。 エキストラバージンよりも風味が軽いので汎用的に使えます。 | 焼きもの、炒めものなど加熱料理 |
風味の分類について
オリーブオイルの風味は産地や品種の違いだけでなく、収穫時期、生育地域の土壌、気候、気温、摘み方、搾り方などの違いによって様々な特長があります。エキストラバージンオリーブオイルの風味は、フルーティ(オリーブフルーティ)、苦み、辛み等で評価されます。
さらに風味特性を表す上で重要な項目であるフルーティ(オリーブフルーティ)は原料となるオリーブ果実の成熟度によって、「Green(グリーン):青々しい果実の香り」と「Ripe(ライプ):熟した甘い果実の香り」に分けられ、そのバランスによって全体の風味が決まります。
香りのバランスとおすすめ料理
香りのバランスによって特におすすめのメニュー&食材があります
オリーブオイルのヘルシー成分
オレイン酸(オメガ9系脂肪酸)
オリーブオイルに含まれる脂肪酸の70~80%はオレイン酸です。
オレイン酸はLDL(悪玉)コレステロールを上げにくいといわれています。
オリーブポリフェノール(エキストラバージンオリーブオイルに含まれる)
食事に含まれる中性脂肪の吸収を抑え、血液中の酸化物生成の抑制、動脈硬化の予防効果があるといわれています。
オリーブオイルは、世界でも「健康に良い油」として認知されています。
<ヨーロッパ>
欧州食品安全局(EFSA)は、「オリーブオイルポリフェノールの摂取は、LDL(悪玉コレステロール)を酸化損傷から保護します」と発表しています。
<引用>「オリーブポリフェノールの健康強調表示の根拠に関する科学的見解」https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.2903/j.efsa.2011.2033
<アメリカ>
アメリカの食品医薬品局(FDA)はオレイン酸を70%以上含むエキストラバージンオリーブオイルは「心臓病のリスクを減らす」とラベルに表記することを認めています。
<引用>「オレイン酸の限定的健康強調表示の請願及び冠動脈心疾患リスクのレビュー」 https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05051260105
業務用でのオリーブオイル選びのポイント
オリーブオイルの風味は、生産地、オリーブの品種、気候、収穫時期、搾油方法などにより異なります。また、天産品であるため、毎年の収穫高の変動や不作による安定確保への懸念もあります。その為、業務用用途でオリーブオイルを選ぶ際には、メーカーが官能評価技術者を有しているかどうかや、原料選定から製品出荷までの各工程での管理がなされ通年での安定した供給体制が整っていることも重要です。
業務用製品には、オリーブオイルと菜種油(キャノーラ油)をブレンドした油があります。菜種油がブレンドされているためフライ適性にも優れ、ブレンドによる旨みが実感できるオイルで特に天ぷらなどの料理に用いると野菜の旨味や甘みが引き立ちます。
オリーブオイルは健康に対するポジティブなイメージがあり、訴求力のある油です。商品によってさまざまな風味や品質がありますので、メニューや食材に最適なオリーブオイルを選ぶことが重要です。料理の味わいを考えながら、適切なオリーブオイルを選択してください。